24話 ついに彼女が……!
「お、お泊まりデートって……俺と清水がか?」
「当たり前です」
あ、当たり前と言われても……。
「なんでよりによってお泊りなんて」
「そんなの……崎宮さんが楽しそうだからに決まっているじゃありませんか」
「何が"決まっている"のか理解できないんだが」
あと崎宮さんが楽しそう? っていうのもよく分からない。
むしろ崎宮さんは俺のアレを見てショックを受けていたのに。
「わたくしも崎宮さんみたいに楽しいことをしたいんです。崎宮さんみたいに、好きなものを心から楽しめることを」
好きなもの……?
それは地雷系ファッションのことだよな?
「風切さん——約束していただけますか?」
清水は真剣な眼差しで問いかけて来る。
お泊りデートなんて……してもいいのだろうか。
そりゃ俺からしたら、清水みたいな美少女とお泊りなんて……ご奉仕どころかご褒美でしかない。
だが、ご褒美でしかないからこそ本当にしてもいいのかモヤモヤしてしまう。
それに、俺とお泊りデートをしたいなんて言い出すってことは、やっぱり清水は俺のこと……。
「本当に俺でいいの? 男の俺とお泊りなんてしたら、一体何をするか分からないし」
「風切さんなら、変なことはしないって分かってますから」
「えっ……」
「風切さんはわたくしを傷つけるようなことは絶対にしない。だからこそ、お泊りデートをして朝まで語り尽くしたいのです」
か、語り尽くしたいだけ……?
つまり俺は清水に一人の男として見られていないってことか……?
やっぱそうだよな……清水ほどのお嬢様が、俺みたいな凡人に好意を抱いているわけがない。
こうやって俺にご奉仕として色々してくれたのも、きっと唯一の同郷の男友達である俺を少し揶揄いたかっただけなのだろう。
清水には俺を異性としてに思う感情はないはず……だが、仮にそうだとしてもお泊りってのはさすがにどうなんだ?
でも崎宮さんとは仲直りしたいし……その仲裁に清水が入ってくれるのは本当に助かる。
これ以上、悩んでも仕方ないか。
「じゃあ……お泊りデートを——」
俺が清水の条件を飲もうとしたその時。
VIPルームのドアがバンッと開け放たれて、外からピンク色の髪をした彼女が入って来る。
「か、風切くんっ!!!」
「崎宮さん!?」
なんで、ここが……っ。
「……やはり、あなたは来れるんですね」
ソファで俺の隣に座っていた清水は、ボソッと呟きながら立ち上がり、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。
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