17話 相談したらヤツが来た


 ——翌週。


 俺は崎宮さんの一件について相談するため、大学の講義の後にサークル部室へと向かう。


 この前のことは日向に相談したら間違いなく揶揄われそうだし、かと言って矢見さんに相談するのも違うと思う。

 こうなったら頼れる人なんて、しかいないよな。


「し、失礼しまーす」

「なんだ風切か。相変わらず景気の悪そうな顔をしておるな?」


 俺が旅行サークルの部室に入ると、東雲先輩がいつものソファに寝そべりながらゲームをしていた。

 同じ旅行サークルで理工学部2年の東雲稲荷先輩。


 ロリ体型の童顔の可愛らしい見た目の先輩で栗色のストレートヘアと赤縁の眼鏡がトレードマーク。

 いつも別棟にある研究室にいるので、今日も私服の上に白衣を着ていた。


 東雲先輩は(ロリだけど)博識だし、年上だから色々と経験ありそうだもんな。

 俺があの一件で崎宮さんに引かれたかどうか、東雲先輩なら女子の視点から真剣に考えてくれるかも。


「東雲先輩……少し相談したいことがあって」


 東雲先輩は小首を傾げながら「相談?」と聞き返して来る。


「えと、話せば長くなるんですが……崎宮さんのことで」

「崎宮?」


 俺は東雲先輩の隣に座ると、崎宮さんとのことを東雲先輩に話した。


 ✳︎✳︎


「……ってことがありまして」


 全部話終わると東雲先輩はソファの上で「なるほど」と頷いた。


「風切は、崎宮と隣人になって」

「はい」

「一緒にご飯作って」

「はい」

「風呂にも一緒に入って」

「は、はい」

「風切のブツが出てしまったと……」

「はい……」


 東雲先輩はまた考え込む。


「いや、なんていうか……それもうセッ●スだろ」

「は?」

「男と女が一緒に風呂って、それはもうセッ●スだろ」

「なんでそうなるんですか!」

「だって一緒に入ったらヤらないわけないし」


 この人の中のセッ●スどうなってんだ。


「まぁ大体事情は分かったから、安心しろ風切」

「本当ですか!」

「当たり前だ。女の気持ちってのは女にしか分からないからな」


 なんだ、東雲先輩分かってるのか。

 見た目がロリだから些か心配したけど、大丈夫そうだな。


「とりあえず、崎宮の気持ちを知りたいなら、崎宮と同じ状況を作るべきだろう」

「は?」

「理系の学生としてはとりあえず検証してみないとな」

「は、はあ?」


 東雲先輩はソファから立ち上がると俺に向かってビシッと人差し指を立てる。


「さあ風切、ワタシにお前のブツを見せてみろ」

「いっ……いやいや! 嫌ですよ!」

「見ないとその時の崎宮の気持ちなんぞ分からんだろ? ほら、ワタシに見せてみな」

「い、嫌ですって!」


 この人やっぱダメだ、バカだ。

 相談する相手ミスったぁ!


「いいから、ワタシはお前のブツなんぞ見ても気にせんし」

「いーやー!」


 東雲先輩が俺の下半身に手を伸ばした刹那、部室のドアがガチャッと開く。


「あらぁ、お二人とも楽しそうですねー?」


 俺たちのいざこざに割り込んで来るように部室に現れたのは、清水神奈子だった。

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