23話 想い愛と重い愛


 メイド服姿の清水がやりたかったご奉仕とやらがひと段落して、やっと俺の本題に入ることに。


「それで。崎宮さんと何があったのか、何で風切さんが悩んでいらっしゃるのか。この清水神奈子にお教えください」

「あ、ああ」


 やっと本題に入れるから嬉しいが、これから話すことがアレなだけに、複雑な心境である。

 少しは話を変えて伝えた方がいいよな。


 ほぼ裸の状態で一緒に風呂入ったとか、正直に色々と伝えるのは普通にマズイ。


「この前、崎宮さんとご飯を作っていたのは清水も知ってるよね」

「ええ、それはもう楽しそうでしたわね」


 清水は朗らかな感じで言っているが、なんとなく目は笑っていないように思える。


 な、なんだよ、この圧は……。


「それでそのご飯の後に……少し行き違いがあったというか。俺が風呂にしっかり入らなかったから、崎宮さんに俺の背中を流してもらうことになっちゃったんだ」

「お背中を……」

「な、何だよその目」

「いえいえ。18の男女が部屋ですることなんて、背中を流すだけでは済まないですし、大丈夫ですわ」


 ぜってぇ勘違いしてるだろ!

 ま、まぁ、話の腰を折りたくないから続けよう。


「んで、その時……うっかり腰に巻いていたタオルが落ちちゃって。俺の、下半身を崎宮さんに見られちゃったんだ」

「まあっ。風切さん、大胆っ」

「わざとじゃない!」

「ふふっ……ではそういうことに」


 否定してるのに、清水は俺を露出狂のヤバいやつ扱いしてくる。

 くっ……いちいち腹立つな。


「それで。風切さんの風切さんを見て、崎宮さんは何と?」

「え、えっと……実は」


 俺は崎宮さんが気絶してしまったことや、その後から気まずくなってしまったことを清水へ打ち明けた。


 俺が赤裸々に話していると、清水はそれを真顔でずっと聞いてくれた。


「なるほど……風切さんが悩んでいた理由は理解できました」

「ほんと!?」

「ええ。今回の件はおそらく風切さんのおち……ではなく男根を見て驚いただけなのでは?」

「男根よりおち●ち●の方が表現が柔らかいと思うんだが」

「そして女子が男根を見て驚くのは、自分の中に入らないくらい大きくて驚くか、小さくて鼻で笑うかの2択です」


 お嬢様なのに謎に下ネタ耐性がある清水は、何の恥じらいもなく男根の意見を口にする。


「つまり、崎宮さんは前者。風切さんの男根が大きくて驚いたのかと」

「俺のが、大きい?」


 自分では意識したことがなかったというか、周りと比べたことがなかったから、分からなかった。


 陽キャは仲間同士で見せあったりするけど、俺みたいな元陰キャは友達とそういう会話しなかったからな……。


「ふふっ……崎宮さんったら。自分の中には入らないと思ってビビったのでしょうか」

「な、なあ、清水。俺、嫌われちゃったのかな」

「どうでしょう……むしろ、だとわたくしは思いますけどね」

「逆?」


「もしわたくしだったら、小さい男性よりも、逞しいモノを持っている男性の方が好きですから……つまり、風切さんは女性を惹きつけるご立派なモノを持っているということです」


 ち、ちん●を褒められたのは人生で初めてだ。

 イマイチ名誉に思えない。


「仕方ありませんね。わたくしもお隣に引っ越しますし、隣人として仲直りの仲介をしてあげますわ」

「ほ、ほんとか! 清水!?」

「でも——その代わり」


 清水は人差し指で俺の鼻頭を優しく押しながら、顔を近づけて来る。


「仲直りしたら。今度はわたくしと……してください」


「お、お泊りっ!?」



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お泊まり系地雷女子

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