25話 家族共有♡
崎宮さんがVIPルームに飛び込んで来ると、清水はニヤリとしながら目を細める。
「あらあら崎宮さん? ご機嫌よう」
「清水さん……なんでメイド服なの」
二人は一切目を逸らすことなく、バチバチと火花を散らしながらお互いに歩み寄る。
ピンクの地雷系ファッションと黒の地雷系メイドというあまりにも現実離れした個性が向かい合う状況は、見ていてハラハラする。
今にも喧嘩が始まりそうな空気だ……。
「風切くんに、何をしたの?」
「ふふふっ。それはもう甘々なご奉仕をたっぷりしましたよね、風切さん?」
「お、オムライスあーんしかしてないから! 崎宮さんの前で誤解を生むようなこと言わないでよ!」
俺は反論しながら、今にも喧嘩をおっ始めそうな二人の間に割って入る。
「風切くんが無事で良かったけど、なんなのこの部屋」
「ここは本店舗のVIPルームになります」
「VIP?」
「ここはわたくしのお店ですので。特別なお客様は、こちらにご案内してわたくし自らご奉仕させていただいております」
「……そう、なのね」
崎宮さんは色々と察したのか、それ以上の細かい疑問は問い詰めなかった。
「あのさ、崎宮さんはどうしてここに」
「それはいいから。風切くん、もう帰ろ? わたしたちのお家に」
崎宮さんは俺の質問を遮って、俺の手をギュッと握ると颯爽と歩き出す。
「お待ちください——崎宮さん」
するとすかさず清水が呼び止めた。
清水……?
「崎宮さんがここに来たのは実に気になります」
清水は一度埋められた俺の質問を掘り起こしてもう一度崎宮さんに投げかける。
「そ、それは……」
「ピンポイントでここに来たのはビックリです。そう、まるで風切さんの居場所を常に把握していたような……」
「お、おい清水、なんだその言い方。崎宮さんが俺のことストーキングしていたみたいな言い方するなよ」
「うん。わたしストーキングなんてしてない。でも」
崎宮さんは俺から手を離す。
「わたし……実はこの前、風切くんとスマホと家族共有してて」
「か、家族共有!?」
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