30話 地雷同士のお泊り会は爆発寸前
1DKの大学生らしく狭苦しい一室から聞こえてくるのは、網戸に足を取られた蝉の声。
クーラーは効いており、涼しいものの、どこか寒いような気もする。
その理由は……。
「……あら崎宮さん? ご機嫌よう」
「ご、ご機嫌よう清水さん? 清水さんは風切くんのお家で何をしてるのかなぁ?」
地雷と地雷がちゃぶ台で向かい合っているからだ。
事の経緯としては、清水神奈子となんやかんやあってお泊り会をする約束をしてしまったことにより、急遽始まったお泊まり会で俺と清水は二人きりに。
付き合ってもないのに男女がお泊まり会をするのは色々とマズイと思った俺は、半同棲生活をしてる崎宮さんに事情を話す(と言う名のSOSを送る)ことで、なんとか二人きりの時間を回避した……のだが、一難去ったらまた一難。
ピンク地雷の崎宮さんと、黒い地雷の清水神奈子はまさに水と油。
みんな楽しくお泊まり会〜、なんてなるはずもなく、二人が揃った時点で、よく考えたらもっとヤバいことになってしまった。
「風切さんのお部屋ってキレイですね? 崎宮さんがお掃除してあげているんですか?」
「……ま、まぁ、そう、だけど」
姑が来た時の会話みたいになってるんだけど!
てかなんで清水が姑ポジションなんだよ!
「清水さん、お泊まり会するって本気?」
「ええ。風切さんと前々からお約束しておりましたので」
「そうなの風切くん?」
「……まぁ、清水がやりたいって言うから」
事細かに説明すると面倒なことになりそうなので、俺は必要最低限の理由を口にする。
「なら清水さんはなんでお泊り会をやりたいなんて言ったの? 男の子の家でやりたいとか……おかしいよね?」
「風切さんと話していると楽しいので。夜が明けるまで語り合いたいと思い」
俺たちそんな話すことないだろっ!!
「でも崎宮さんがいらっしゃるとは思っていなかったので、3人で寝るには手狭ですね」
「……そうだね。風切くんのお部屋って敷布団も一枚しかないし」
「となると……ベッドには二人ということになりますが」
地雷系二人の視線がビビッと俺の方へ向けられる。
「……い、いや、崎宮さんと清水さんの二人がベッドでいいじゃん」
「………」
「………」
なんか空気最悪なんだけど……。
もしかしてこの二人……お互いにお互いと寝たくないから消去法で俺と寝ようとしてないか?
さ、さすがにそれは……マズイでしょ!
「崎宮さんはお料理が得意だと聞いております。そこで、一勝負いかがでしょうか」
「……望むところよ」
二人はどこからか出して来たエプロンを地雷系の服の上から着けると、キッチンへ向かう。
な、なんか料理漫画始まったんだが!?
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