31話 お料理バチバチ


 唐突に始まった地雷vs地雷のお料理対決。


 言うまでもなく俺の部屋のキッチンは狭いから、同じタイミングで料理を作ることは不可能。

 なので先攻後攻に分かれて料理を作ることに。


 しかしこのルールだと先攻は不利なので、先攻のアドバンテージとして食材は冷蔵庫の中のものだけを使うというルール。


 先に冷蔵庫の中の食材を選べて、好きなだけ使える先攻もかなり有利になっている。


 まぁ、後攻の方が判定前に舌に残ってるから余程の差を感じない限り有利だとは思うけど。


「テーマは肉料理。そして負けた方が大人しくその場から去る。勝った方はお泊まり会。いいですね?」

「うん。大丈夫」


 そもそもなんでこんなバチバチ展開に……そんなにお泊まり会したいものなのかな?


 しかも俺みたいな男子と。


 二人がなぜそこまで拘るのか分からないけど……。


「清水さん、先攻後攻どっちがいい?」

「それでは……先攻でもよろしいでしょうか?」

「別に、いいけど」


 てっきり後攻って言うのかと思ったけど、先攻?


「お、おい清水。まさか先攻で食材使いまくろうとか考えてないよな?」

「あら風切さん? わたくしがそんな醜い人間に見えますの?」

「え、いや、そんなつもりはなくて! 自分から先攻選ぶから、何かしら思惑があるのかと」

「わたくしはそんなことをしなくても、極上のお料理を作りますのでご心配なく」


 心配というかなんというか……まぁ、いいや。


「それではわたくしから、お料理を作らせていただきますね?」


 清水がキッチンへ行くと、必然的に部屋では崎宮さんと二人きりになってしまう。


 やけに険しい顔の崎宮さん。


 崎宮さん、もしかして怒ってるのかな。


「風切くん、本音でいいから」

「ほ、本音?」

「わたしの方が清水さんより美味しく無くても正直に言ってってこと」


 こういう所は、崎宮さんらしいというかなんというか。


「逆にわたしの方が美味しかったらいっぱい褒めてくれていいよ?」

「も、もちろん! そのつもりだから!」


 でも、この勝負マジでどうなるのか読めない。

 才女の清水が作る料理って……どんな感じなんだろう。

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