2nd seasonに向けて02【閑話休題】


 ——6月初旬。

 ようやく梅雨になったことで、東京の天気はいつもジメジメしていた。


 もう大学に入ってもう2ヶ月。

 大学生活やサークル、一人暮らしにも慣れたのでそろそろバイトを始めようと思った俺、風切裕也かざきり ゆうやは駅で貰ってきた求人雑誌を、部屋でダラダラ読んでいる。


「バイトかぁ……あんまり陽キャが多くないところがいいなぁ」


 陽キャになるのを目標に東京の大学へと上京してきたのに、相変わらず陰キャ体質なのは変わっていない。


 だって陽キャのバイト友達が多いと毎日飲み会とか連れていかれそうだし。

 何より陽キャと会話するのは得意ではない。


 俺の周りには一応陽キャ女子の日向がいるが、彼女は陰キャに理解のある陽キャなので話は別だ。


 って、ことになると陰キャでも大丈夫そうなバイトがいいよな……。


「そんなバイト、あるのか?」


 部屋から窓の外を眺めながら絶望する。


「あージメジメする……」


 人間関係とかどうでもいい単発バイトでもいいんだけど、それだとバイトしてる感ないもんね。

 俺もスノトで働いていた崎宮さんみたいにバイト先でも人間関係を築けるようになりたいし。


「なら、崎宮さんと同じスノトで働くっていうのは?」


 ダメダメ。崎宮さんにカッコ悪い所を見られるのは恥ずかしい。

 俺の場合は失敗ばっかりしちゃうだろうし。


「じゃあどうすんだよ……」


 そんなことを考えていると、崎宮さんから電話が。

 崎宮さん? どうしたんだろ。


「もしもし風切です」

『あ、風切くんごめんね?」

「どうしたの崎宮さん? 電話なんて珍しい」

『えーっと、実は……引っ越しを……』

「引っ越し?」

『や! やっぱりなんでもないっ! ちょっと風切くんの声聞きたかったというかー』

「声?」

『うん。聞けたから安心したっ! じゃあね、風切くん』


 崎宮さんからの電話が切れる。


 え、要件は……???



—————————

来週から2nd season始まります!

それまでに風切くん視点の回をもう一つ。

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