26話 衝撃の事実!?
渋谷のスノトから出た俺たちは、電車で原宿まで移動する。
黒い大きめのリボンが胸元にあるピンクのフリルブラウスと黒のハイウエストスカートの崎宮さんは、やはりどこでも周りの視線を集めた。
単に地雷系ファッションってだけならまだしも、崎宮さんの場合は本人がめちゃくちゃ可愛いし、ピンク髪が似合ってるからなおさら人の多い場所だと視線が集まる。
隣にいる俺も不思議そうな目で見られたが、むしろ少しだけ優越感があった。
崎宮さんみたいな美少女と一緒に出掛けるなんて少し前まであり得ないことだったわけで。
「風切くん、さっきからわたしの方見てどうしたの?」
「え、ええっと、なんでもないよ?」
「そう?」
すぐに女子を凝視してしまうのは童貞の悪い癖だ。
こういう所を直していかないと崎宮さんに嫌われる。
気をつけないと……!!
そのまま原宿に到着すると、竹下通りにある地雷系のブランドショップへ。
「おおお……」
シックな外観で高級感の漂うブランドショップ。
俺みたいな一般人が入ってもいいのか若干憚られる店だった。
俺が思っているのと同じように、矢見さんも緊張した面持ちになっていた。
「二人とも早く入ろ?」
崎宮さんはニコッと笑いながら先を行く。
後をついていくように俺たちも店内へ。
崎宮さんと矢見さんが二人で色々と話しているようなので、邪魔しちゃ悪いと思い俺は店内を軽くぶらぶらする。
店の中は意外と普通の女性モノの服も多くあって、子供向けみたいな服もあったが、値札だけは完全に大人な値段だった。
女子ってこんなに高い服着てるんだ……。
ファッションの小物だけでも数万というものがあり、俺は自分の食費と比べながら眉間に皺を寄せた。
「あのー、何かお探しですかー?」
「えっ……」
ガッツリ黒い地雷系ファッションの店員さんが俺に声をかけて来た。
な、なんだこのお店……店員もそっち系なのか?
「あ! もしかして彼女さんへのプレゼントとかですかにゃ?」
「にゃ?」
「あ、すみません! つい他の仕事の癖で」
いやいや、なんの仕事だよ!
……と、ツッコミかけてグッと堪える。
「プレゼントでしたらあちらにアクセサリーがあるので良かったらどうです?」
プレゼント、か。
じゃあ崎宮さんに何か……で、でも、下手なモノあげたら気持ち悪いと思われるかも……。
それこそ、彼女にあげる感じのモノを渡したら……キモいと思われるだろうし。
「あ、あの」
「はい?」
「彼女とかじゃなくて、あそこにいる友達にプレゼント、したいんですが」
矢見さんと二人で服を選ぶ崎宮さんを指差して言う。
「え、崎宮ちゃんの友達!? 男なのに?」
「崎宮さんご存知なんですか?」
「もちろん! だって彼女、うちの商品のモデルやってもらったことありますもん」
さ、崎宮さんが……モデル!?
凄い……!
「それ、どこで見れるんですか!」
「1年前のなのでもうサイトにはないですけど……もし必要ならエアドロで送りますよ?」
にしし、と笑いながら店員さんはスマホを取り出した。
「く、ください!」
「うわ、お客さんがっつきますねぇ……崎宮ちゃんのこと好きなんですか?」
「す、好きとかじゃない、ですけど……崎宮さんは、俺の憧れで」
「え、お客さんも地雷系ファッションしたいんですか?」
「そういう憧れではなく!」
俺は否定しながら店員さんに案内してもらって、崎宮さんへのプレゼントを選ぶことになった。
✳︎✳︎
……よ、よく分からなかったけど、値段的にはこれが限界だったし、これで良いよね。
俺はレジを通したプレゼントをバッグにしまうと、2人のところに戻る。
「セーラー系の襟がワンポイントであると可愛いし、リボンは気分次第で黒とピンクにしてるけど、服の生地が白の時はピンク、ピンクの時は黒にするとシナジーがあって良くて」
崎宮さんの説明をメモしながら熱心に聞く矢見さん。
見た目からして姉と妹みたいな感じだな。
「まあリボンに関しては、わたしの場合は機嫌がいい時はピンクリボンで、おこおこな時は黒なんだー」
矢見さんに対して説明口調だった崎宮さんが、急に俺の方をギロっと見つめてきた。
今日のリボンは黒。
あ、つまり崎宮さん……怒ってたんだ……。
確かにゼミの前からヒステリックだったし、思い当たる節しかないけど。
今後はリボンの色ちゃんと把握しておかないとな。
「じゃあ今から矢見さんが着たいのを着てみて、それに合うセットアップを考えるから」
「ありがとうございます崎宮さんっ!」
矢見さんも嬉しそうで良かった。
崎宮さんってバイトでも周りを指揮ってたし、結構、面倒見いいんだ……。
崎宮さんの新しい一面が見れた気がして、嬉しかった。
はやくプレゼント、渡したいな。
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