第81話 『目覚めた時に一番に俺の姿を見て欲しい!!』
眠り姫・・・
長い金色のサラサラの髪、そして真っ白な柔らかな頬、小さなピンク色のくちびる
薄く閉じられた瞼
テラスに置かれた天蓋付きのベッドの上で規則正しくゆっくりと寝息を立てているように眠っているティナ。
あれから何日が過ぎたのだろう・・・
俺は一日一回Protect lifeのアンプルを口に含み生命譲渡を意識して口移しでティナに揉ませている。
魔法:自分の生命を他者に譲渡する魔法
この世界に存在するのだろうか?
知識としては存在するらしい・・・
解除された屋敷の中の書庫で見つけた魔法書に書かれてあった失われた魔法。
その魔法書を読み解き、再現した『生命譲渡の魔法』
本当に効果が有るのか?
全く解らない・・・
ただ・・
目を覚まさないティナを見ると・・
『生命譲渡の魔法』は効果無いんじゃ?
そう思えてならないんだが、未だに続けている。
この魔法が効かない・・・という証拠は何処にもないのだから・・
でも効いているという証拠も何処にもない・・・
タダ俺は効くという可能性に賭けている!!
一億分の一
百億分の一
それだけの可能性でも有るならば・・
その小さな可能性に賭けたい!!
生命譲渡
タダ今の俺に寿命なんて有るのか?
そんな疑問が沸いてくる。
『黒の管理者』
を体の中に取り込み
『白の管理者』
に喉を噛みちぎられ
俺はもう死んでしまってる人間かもしれない・・
『今俺が体験しているのは夢なんじゃ?』
そんな事さえ思ってしまう。
『夢ならば今すぐに覚めてくれ!!』
そう叫んでしまいそうになる俺だ。
眠ったままのティナ
死んでは・・・いない!!
息は・・している!!
でも目覚めてくれない。
俺はそんなティナを抱き上げてお姫様抱っこ。
そんな俺の左腕にはステア
そして右腕にはナサリー
が常に付き添っている。
多分
俺に付き添っている天使の姿をした2人が居なかったなら・・
俺は壊れてしまっていたかもしれない。
俺がまだ正気を保っていられるのは確実にステアとナサリーのお陰
『俺がマナを強制供給する魔道具さえ作らなければ、こんな事にはならなかった』
その事実が俺の心を茨のように
『ブスリ』
『ブスリ』
と鋭い痛みを伴って突き刺してくる。
いつ目覚めるか解らない。
ティナが目覚めた時に一番に俺の姿を見て欲しい!!
だから・・
俺はティナをお姫様抱っこしたまま
天使の姿をしたステアとナサリーに抱えられるように支えられながら広大に広がった『ステラナ』の空を行く当てもなく何処までも飛び続ける。
つづく・・・
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