第86話 『生きていた家族』

「ライアン・・・何で・・・泣いてるの・・?」

その声は・・・

64年と4ヶ月と1日ずっと倒れたまま眠る続けていた俺の眠り姫

俺は突然の事にその問いに答える事ができなかった


俺が涙を流していた事なんて、ティナの事に比べれば些細な事なのだから!!


「ティナ、ザクトル将軍の罠に気づか

ずにティナをあんな所に連れて行って、ティナを悲しい目に合わせてごめん」

俺がそう言うとティナは大粒の涙を一気に流し

「ううん・・私が行きたいって言わなければあんな酷い事を見なくて済んだんです。


全ては私の我が儘です。もうとっくに処刑されてしまったと思ってた家族が生きてる


って思ったら居ても立ってもいられなくって、でも結局皆を助けれませんでした」


と俺の胸に顔を埋める。

「お前の家族は生きているぞ?」

「そんな気休めを言って頂かなくても大丈夫ですライアン。私はもう諦めています」

「いや気休めなんかじゃ無いぞ!!初撃で矢を射られて絶命寸前だったがProtect lifeのアンプルで皆生き返っている。

ティナが目覚めるまで皆にはステラナ城のドーム状の部屋で眠ってもらっているぞ」


「本当ですか??」

そう叫んだ途端にティナは俺の両腕を掴んで俺の顔を一気に覗き込む。

俺はステア、ナサリー、ティナを交互に見ながら


「じゃ~ステラナ城のティナの家族が眠る部屋に皆帰ろう」


「ハイ」

「はい」

「ハイです」


と3人が言った3人共に瞬間俺に抱きついてきた。

俺は3人の顔を交互に見ながら

「じゃ~転移するぞ」

と言った瞬間にステラナ城の一番上のドームに転移


そのステラナ城のドームの天蓋付きのベッドには

王様

王妃

皇太子

皇太子妃

5歳くらいの男の子

3歳くらいの女の子


その6人の時間が止められたまま眠っていた。

眠るという表現で良いのかは悩むところだ。


ティナに聞くと

父親の名前は  ゲイン・ルクトニア

母親の名前は  カリナ・ルクトニア

シャルロッティーナの兄である

皇太子の    エリック・ルクトニア 

皇太子妃の   イングリッド・ルクトニア 

第一王子の   カール・ルクトニア    

第一王女の   キャロライン・ルクトニア


俺達の目の前で眠っている6人がティナの家族

「ティナ悲しい目には有ったけど、この通りティナの家族を助ける事が出来た。しかしザクトル将軍にめちゃくちゃにされたルクトニア王国をこれから立て直す事の方が大変だ皆にティナの家族に協力してもらおうと思うが良いよな」


「ライアンが思うようにしたら良いんじゃないですか?でもルクトニア王国は一度ザクトル将軍によって滅ぼされました。新生ルクトニア王国の運営には口を挟んで下さいね。うふっ」


ティナ・・いつの間にステアとナサリーと情報共有したんだ?

「とりあえず6人を起こそう!!ステア6人の停止された時間を解除してくれないか?」


俺には時間を動かしたり止めたりは出来ない。

今はステアに頼まなければならない。

過去、この世界を譲り受けた人達もそうやってきたのだろうか?


つづく・・・

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