第87話 『気がついたティナの家族』

本当はあの砂漠に出来たボロボロの小屋がどんな感じに作れたのか気になって確認してみたかったんだけど・・・


それにルクトニア王国のあの城跡・・・

あの世界にラナの地を顕現させたってステアが言っていたからあの城跡に何が出来たかも知りたい。


それにルクトニア王国の首都がザクトル将軍の蛮行でどこまで破壊されているのかそれも気になる。


それに俺達に進軍を邪魔されたナリア帝国の動向も知りたい。

やる事は山積みでも今はティナが一番心配をしている家族達の事が最優先

心配なのは体の怪我はProtect lifeのアンプルにより回復出来ているが、果たして記憶や精神に異常が出ていないかは今のところ不明


あの時はティナの事で精一杯でそこまで気が回らなかった。

ステアやナサリーにもその点は悪いと思っている

俺の頭の中は今の今までティナが笑顔で笑って俺の目の前に立つ事だけを夢見て生きてきたんだ。



こうやってティナが元気になった今

天蓋付きのベッドで眠っているティナの家族の姿を自分の胸の前で両手を祈るように合わせながら心配そうに覗き込んでいるティナの姿をみると、今更ながらにティナの家族の無事を確認しておけば良かったと悔やんでしまう俺だ。


ティナの父親だろう30歳後半近くの男性の体が


「ぴくっ」


っと動いた。

その瞬間


「お父様!!」


と叫んだ瞬間にティナはその男性に駆け寄ってその男性の手を心配そうな表情で握った。

あの時有無を言わさず絶望のどん底に落とされた

ザクトル将軍はティナの家族全員を目の前で殺す事によってティナの心を折って、逃げる気力も無くした状態で集まった市民を巻き添えに国王の血筋を全て絶やしたかった?


そうすれば、国王の血筋の絶えたルクトニア王国で国王派が結集する可能性を消したかったんじゃないかと俺は思ってる。


ティナに手を握られた国王は・・


ゆっくりと起き上がり、左右に首をゆっくりと振りながら周りの景色を確認し


「シャルロッティーナ・・・か?

お前も死んでしもうたか・・・


シャルロッティーナよ此処は天国なのか?」


と自分が死んでしまって、ティナも死んで天国に生まれか変わったんだと勘違いしているのか?

この様子だと精神的なダメージは受けていないようで安心した。


「お父様皆死んでいませんよ?私の旦那様のライアンが皆を助け出しました」

「信じられんぞ!!あの20万もの兵の中で、儂達を助け出す事は不可能じゃ!!」

と国王はティナの言葉を信じれないでいるよう


国王の声に残りの全員が目を覚ましていたようだ。

「此処は天国ですか?」

「やっぱり俺達は殺されてしまったか」

「やっと殺されましたか」

そんな風に言って辺りを見回している皇太子夫妻だろう男女に

「父上~」

「母上~」

と気がついた子供達が抱きついてゆく


・・・

・・・


気がついたそんなティナの家族に向かって


「ようこそ私の国『ステラナ』の地へ。貴方達にとっては『ラナの国』と言った方が解りやすいでしょうか?」


そう俺が告げると

国王が


「何!!此処が伝承に伝えられる『ラナの国』とな?あれは戒めでは無かったのか?」

と驚愕の表情



つづく・・・

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