第88話 『自己紹介』

俺が

『ラナの国』

という言葉を使った為にティナの父親は一瞬で固まってしまいティナの父親の手は震えだしてしまっていた。

あの王となる者だけに伝えられると言う逸話というのは相当に衝撃的なモノなんだろうか?

取り敢えず、これは落ち着かせないと無理だな!!

それに今の状況も把握して欲しいしな


俺は横に居たティナの体を抱き寄せて


「驚きの所申し訳ないが、向こうのテラスで食事でもしながらゆっくりと話しませんか?申し遅れました。私はこの『ラナの国』の王ライアン・エドワードです。そして貴方には不満かもしれませんがシャルロッティーナの夫です」


と俺が自己紹介するとティナの家族全員が驚いた。

まあ・・そうなるよな

でもこれだけは譲れない!!


一番初めに立ち直ったのは流石国王だったティナの父親

「そ・・そうか、そうか、シャルロッティーナは無事に逃げおうせて『ラナの国王』と巡り会えたのか・・良かった、良かった」


そう言って上を向いて大粒の涙を流しだした

そんな父親を見てティナは父親に走り寄って父親を抱きしめ

「私を逃がして頂いてありがとうございます。私も国外に脱出して色々な困難な事が有りましたがお陰で皆を助ける事が出来ました。お父様、お母様、そしてエリック兄様、イングリッド姉様。それにカール、キャロライン、テラスで食事でもしながらゆっくりと話しましょう」


と家族全員の顔を見ながら満面の笑顔で言葉をかける。

俺はそんな光景を見ながらステアとナサリーの手を引いて先導してドームの部屋の透明なガラス窓を通り抜け外のテラスに出る。


後ろから

「な・・なんじゃ?」

「な・・何?」


・・


と色々と驚きの声が聞こえてくるが・・

ティナが何とかしてくれるだろう。

後ろをチラッと見てみると、ティナが父親と母親の手を引いて透明な窓ガラスを摺り抜けてテラスに無事に出てきたみたいだ。

父親と母親は左右を交互に見ながら不思議そうに通り抜けたガラス窓を見ている。

次々に通り抜けてくる皇太子や皇太子妃、そして連れ添った子供達も同じような行動をしている。


俺達は先にテーブルの所までゆくと、既にステアが出したメイドさんがもう食事の準備を終えてテーブルの上は既に料理で一杯になっていた。

目の前でメイドさんが床から生えてきたらまたまたティナの家族を驚かす所だったが、ステアは気を使って先に準備させていたんだろう。


ティナの家族はドームの部屋から出て、珍しそうに左右を見ながら歩いてくる。

確かに!!

このテラスはテニス場の広さもあり色々な花々が咲き乱れ、色々な果物が所狭しと成っている。


『楽園』


そんな風に思えるのかもしれない。

そしてテーブルの前に立ったメイド服を着た絶世の美女

俺達が来ると席に順番に案内し席に座らせてくれる。



俺達は楕円のテーブルのテラス側にティナ、俺、ステア、ナサリー

そして景色が見えるようにドームを背に国王、王妃、男の子、皇太子、皇太子妃、女の子の順で席に座る。

ティナの横が国王なので国王も少しは落ち着けるだろう


メイドさんが国王達に順番に声をかけて料理の説明と必要な物を聞いている。が・・

言った瞬間にその料理や飲み物がメイドが持ったトレーに出現

メイドはごく当然と言った感じでテーブルの上にその注文された物を置いてゆく。


俺達にとっては見慣れた光景

それが当然になっている。

最初俺たちも、食事は自分達で準備してたもんな。


こうなったのは、ティナが倒れて動けなくなってから

あの砂漠の近くの丘の上の東屋で、ティナをずっとお姫様抱っこし抱いていた俺は動けなかった。

だからそれ以来、ステアが呼び出したこのメイドさんが俺達のお世話係として食事の準備も全部してくれていたのだ。


国王達家族は捕らえられてから、ロクな食事は与えられていなかったようで一心不乱に食事に没頭していた。

落ち着きただろう頃を見計らって


「皆さん落ち着いただろうか?遅くなって申し訳ない。シャルロッティーナに聞いて貴方方の事は大体わかっては居るんだが、私達の事も気になるだろうから再度自己紹介をみんなでしようと思うんだがどうだろうか?」


、その俺の言葉に反応したティナの父親が

「そうであった。遅ればせながら自己紹介させてもらおう。儂がルクトニア王国、国王いや・・元国王と言ったほうが良いな。元国王ゲイン・ルクトニアじゃ。

そして儂の隣が妻のカリナ・ルクトニア

そして男の子が今年5歳になるカール・ルクトニア

その横が今年21歳になる私の長男のエリック・ルクトニア シャルロッティーナの兄じゃ

その横がエリックの嫁のイングリッド・ルクトニア 

そして女の子が今年3歳になるエリックの子供のキャロライン・ルクトニア

そしてライアン殿の横におるのが今年14歳になるシャルロッティーナだ

そしてシャルロッティーナ良い人が見つかって良かったな。おめでとう」


とティナの父親が家族を紹介しながら、紹介された家族が頭を下げてゆき、最後にティナを紹介して祝福してくれた。


拒否されなくて一安心

『お前に大事なシャルロッティーナはやらん!!』

なんて言われたらどうしようって思ってたぞ!!


拒否されても引き下がるつもりも無かったがな!!


俺もティナの父親の紹介に続き

「では私達も自己紹介をしよう

再度になるが私が『ラナの遺産』を引き継いだライアン・エドワード

シャルロッティーナがダークウィーズの森でサンダーウルフの群れに襲われている所を救った事で知り合って私達は夫婦になった。

そして私の右横が2番目に私の妻になったステア、ステアはこのラナの国の管理者だった者だ。

そしてそのむ右隣が3番目に私の妻になったナサリー、冒険者ギルドで私を昔からサポートしていた女性。

そしてメイドのエリーゼ

これが今の俺の家族です」


と紹介すると

メイドのエリーゼが

「私はライアン様の妻では無いのですか?」

と!!

とんでもない事を!!

「へっ?」

っと俺が素っ頓狂な声を上げると


「冗談でございますよ?ライアン様?」


と・・・・

俺はエリーゼい弄ばれたようだ・・


つづく・・・

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