第60話 『幸せとは何なのだろうな?』

ライアン達5人が飛行魔法で騎龍の発着場から飛び立っていった後


ジェームズ皇太子がデニス国王に

「父上ライアンからあの『ラナの遺産』を取り上げましょう。あの地は素晴らしい此処とは全く違う世界でのんびりと優雅に暮らせるではありませんか?特のあの城の露天風呂に入りながら見える景色は最高でした。

そして気がついたのですが、あの世界には時間がない、あの太陽を見ましたか?5時間経っても太陽は全く同じ位置でした。


あの世界は夜がありません。そして時間がない世界なのですよ!!我々があの世界を手に入れれば永遠に生き続けられるのです」


そんなジェームズ皇太子にデニス国王は

「ジェームズよお前はこの国を滅ぼしたいのか?」

と冷たく叱責するが

「たった4人で何が出来るでしょう。あの者達など、あっという間に制圧できます」

と余裕たっぷりに答えるジェームズ


「お前も見たであろうが、床からメイドが生えてきたのはどう思うか?」

「あんなメイド1人などこの刀で1斬りで成敗出来るでしょう」


楽観的なジェームズの答えを憐れむように

デニス国王は静かに語り始めた


「お前は愚かな奴よの~

昔話をしようか!!

これもランドール家の言い伝えなのだがな・・・

ラナに機神兵有り

悪政を敷き

国が荒れ

民に苦渋を味あわせた時

ラナの機神兵

土から生まれ

全てを喰らい尽くし

土に帰る

機神兵何びとたりとも傷つけること叶わず

故に王族よ良政を敷き常に誠実であれ


そう伝えられている

お前はあの空間でこれに似た物を見たのではないか?」


そのデニス国王の問いにジェームジ皇太子は

「あのメイド・・・ですか?出てきたのがメイドでなく機神兵ならば・・」

と想像し最後まで言葉を発する事は出来なかった



「儂はあのメイドが床から生えるように出て来るのをみてな、体の震えを抑える事が出来なんだのだ。言い伝え通りでは無いかとな・・

ジェームズあのステアという少女を侮るなよ!!

あやつはライアンに

『王とはどう在るべきなのかを身を持って教えている』

と儂は思うのだ。

ライアンは常にステアとかいう少女何かを聞いているであろう?

それに通信の魔道具も出してきたのはステアという少女だった。

我々に『ラナの遺産』の話をしたのもステア嬢だった。

あの世界はな・・

見た目は普通の世界と同じように見えるが


『全ての物が自由に作り出せる世界』


だと儂は思っておるのだ。

だからジェームズよ敵対しようなど考えずに史実に対するべきだと儂は思うぞ」


とデニス国王は未だに震えの止まらないジェームズ皇太子に諭すように空の遠くを見ながら話すのだった。


「そうですよ~ジェームズお兄様。私の未来の旦那様になるお方なのですよ?私の幸せを壊さないで下さいね」


とリリーは言いながら飛行の魔道具を装着

そして王城の空に一気に舞い上がり夢見る少女のように無心に大空を自由に飛び回りだした。


そんな大空を自由に飛び回る天使の姿のリリーを見て

「ジェームズよ幸せとは何なのだろうな?もしかしたらこういう風景こそが幸せと言うのではないかと儂は思うぞ」


と晴れやかな表情で呟くデニス国王が居た。


つづく・・・

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