第69話 『ダークウィーズの森の山賊』

エレノアギルドの屋上に設置されたゲートからギルドの館内に螺旋階段を使って降りて、受付でナルクギルド長を呼んでもらう。


「あれは『希望の砦』のメンバーじゃないか?何でライアンちゃんが居ないんだ!!何で男が混じってるんだ!!」


そんな声がギルドの館内に居る冒険者達の間で口々に囁かれているよう・・・

やっぱりか!!

男1人に女の子3人だもんな・・


『視線が痛い』


流石にティナ、ステア、ナサリーは空気をよんで俺に抱きつくような真似はしていない。

それだけが救いだ。

『そんな事をされれば針の筵状態確実だもんな』


直ぐに受付嬢が戻ってきてギルド長室に案内されると即行

「ライアン今帰ったばかりなのに、何か忘れ物でもしたのか?」

とナルクギルド長に聞かれてしまう。


「俺達はもう向こうの世界で半年以上訓練して今こっちに戻ってきた所なんだ。ナル


クも向こうの世界を体験したんだから解るだろ?」

と俺が返すと

「解るには解るが、俺にとっては数分前に別れたばかりなんだぞ?そう思ってもしょうがないだろ!!」

とちょっと不機嫌な表情で答えてくる。

「悪いな俺達の時間の感覚で喋ってしまって、今日はこれからオレキス公爵家の街オ


レキスを経由してティナの故郷ルクトニアに行って来るんで一応伝えておこうと思ってな」

「それなら通信の魔道具でもよかったんじゃないのか?」

「それはそうなんだが、ゲートはこのギルドの屋上にあるからどうせ一緒だろ?」

「それもそうだ、気をつけてゆけよ」

そんな話をしてからエレノアギルド支部を後にして、即効でエレノアの東門から街道にでて少し歩いた所で再度草原に入り、ステア、ティナ、ナサリーは天使の姿の飛行モードになって一気にダークウィーズの森まで飛行しそのまま森の中に突入し森の木々の中を生えている木々を器用に避けながら縦横無尽にオレキスへ向かって飛行


飛行順番は

前列左側がステア

前列中央がティナ

前列右側がナサリー


そして後方に俺!!

『3人の飛行している後ろからパンツ丸見えで今むらむらモンモン発情中の俺』

何故にこの隊形?

それは、前方で飛行しているステア、ティナ、ナサリーが魔獣を仕留め俺が異空間収納にそのまま回収するフォーメーション

『いたって合理的なフォーメーションなのだ!!』


ただな~~

ステア、ティナ、ナサリー3人ともワザと俺に見せてるような気がするんだよな~

何かさ~

俺を挑発してるような・・

『ハニートラップ仕掛けられてるっぽいんだよな~』


そう思ってる間に、次々にサンダーウルフを仕留めてゆく。

俺はそんな3人が狩った獲物を只管異空間収納してゆく。


時々ブラックタイガーや2首龍なんていう凶暴な魔獣も居るが、平気で瞬殺していく


3人!!

伊達に半年以上『ステラナ』の地に留まって戦闘訓練していた訳じゃないって事だ。

うすろから見ていても安心できる。

『パンツ丸見えだけど・・』


3人のお気に入りは炎球

『流石戦闘狂』

だけど今は森なので


『光矢』

訓練の甲斐あって魔道具の『金の弓』を使用しなくても魔法で自動追尾の『光矢』を


100本近く一気に出せるようになっている!!


防御に関しても不可視シールドを張れるようになった為に訓練中や空中戦に熱中して


片腕を吹き飛ばすなんて事も気にしなくて良くなった。


「キャ~~~助けて~!!」

「誰か~~!!」

「山賊が出た~~!!」

「ギャ~~」


突然街道の方から悲鳴が聞こえた。

ステア

ティナ

ナサリー

「私達が行きます」

「戦闘~~」

「暴れてやる~」


3人は一気に叫んで即効で街道に飛行しようしたので

「不可視シールドは張っておけよ!!」

と指示


「は~い貴方」

「は~い貴方」

「は~い貴方」


おい!!いつの間に貴方に呼び方変えたんだ~~!!

そんな俺の気も知らず3人の天使は乱立する森の木々の間をすり抜けて一瞬で街道に消えていった


今の位置は、オレキスから7キロ地点森に入って3キロ程度といった所か・・・

流石にサンダーウルフがウヨウヨ居る森の奥で隠れるというのは出来なかったって所か?


俺が森を出て街道に着いた時には100人近くの山賊が商人の馬車10台が連なった商隊を取り囲んでおり


3人がその商人の商隊の周りを取り囲んでシールドを張って山賊が入れないようにしている所だった。

商隊をシールドで守りながらも自動追尾された『光矢』の攻撃で徐々に山賊達を仕留めているが、盾をもった山賊達に取り囲まれ弓矢を怒涛のように打ち込まれている為に段々と仕留められなくなっていた。


俺は不可視のシールドを展開し山賊の前に降り立つと俺はステアから貰った剣を一気に抜き山賊に斬りかかる。

盾を持った山賊が俺に向けて盾を突き出しいてくるが剣で一気に切り裂くと盾と山賊を同時に切り裂いて盾と山賊の体が半分に分断地面にずり落ちる。


それを見た山賊が一気に俺に群がり刀を槍を突き刺してくるが・・

不可視のシールドに阻まれて


「カン」

「カン」

「カン」

「カン」

「カン」

「カン」

「カン」

「カン」

と金属音を上げて俺の体の前の不可視シールドで止まってしまう。

俺は一気の剣を一閃

周りの山賊の体が半分になり一気にずり落ちる。

ステア、ティナ、ナサリーが自動追尾の『光矢』で倒した山賊と合わせて30人近くは倒せているみたいだ。


俺は山賊の群れに躍り込んでいって刀を縦横無尽に振り回す。

全く力が要らない感じで紙を切るように山賊の体をすり抜けてゆくよう。

『本当に切れたのかな?』

と思うのだけれど、山賊の体が半分になって地面に落ちてゆくのを見ると、切れているんだなと安心?

山賊が怯んでいる間にドンドンと切り倒してゆく。


敵も黙って切られている訳ではない!!

同士討ち覚悟で、怒涛のように弓矢、刀で、槍で俺を攻撃してくるが不可視のシールドに阻まれて俺に傷を付けることが出来ないでいる。


実際可愛そうだが俺に切りかかろうとしていた何十人もの盗賊が後ろから盗賊の弓矢の攻撃で

「ギャー」

「うをーーー」

「ギャー」

「うをーーー」

「助けてくれ~」

・・・

そんな悲鳴を上げて次々に倒れてゆく。

山賊の同士討ちだけではない!!

ステア、ティナ、ナサリーの自動追尾の『光矢』の攻撃でも次々に心臓を打ち抜かれ山賊が倒れてゆく。


流石に30人を切った頃

「野郎ども引け~~」

と山賊の親玉らしき男が叫んだ瞬間山賊が一斉に逃げ始めた。

俺も逃がすつもりはない!!

一気に自動追尾の光の矢を50本程放つ

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

「ギャー」

ーーー

山賊達の悲鳴が一気に森の中に響き渡り・・

悲鳴がなり止むとと同時に静寂が戻った。


そして残った光の矢が俺の周りをくるくると回り始める。

俺はその光の矢から魔力を回収すると光の矢は光の粒となって虚空に消えてゆく。


一応気配感知を発動し、残っている山賊が居ないか確認!!


『もう山賊は全部殲滅したようだな』


そう確認し

「ステア、ティナ、ナサリーもう大丈夫だ」

と3人の姿を見ながら合図を送ると満面の笑顔で振り向いた瞬間俺に駆け寄ってきて俺を同時に抱き締める。


「良くやったな3人とも」


と労いの言葉をかけると

「えへっ」

「うん」

「はい」

恥ずかしそうに俺に答えてくれ、余計に俺を抱き締めてくるステアにティナにナサリー


『嬉しいんだが・・』


『嬉しいんだが・・』


『嬉しいんだが・・』


『すご~~く嬉しいんだが・・』


『皆の視線が・・・痛い・・』


俺は3人の頭を


『ポン』


『ポン』


っと叩いでから商人の馬車の連なった商隊を見て

「少し待っててくれ」

と言って、商隊のほうへ歩み寄り

「誰か長になるものはこの中にいるか?」

と聞いてみると・・


皆が倒れている人を何人か介抱している方向を一斉に向いた。

そこには5人ほど山賊に襲われて倒れている人を介抱しているようだが、もう虫の息で死ぬ寸前!!

『普通ならもう助からない』


普通なら・・

俺は異空間収納から『Protect lifeせいめいのかじつ』を取り出して半分を傷口に半分を口から流し込む。

それをあと4人分繰り返す。

5人の傷口が煙を上げて塞がり消え、欠損していた腕が生え、次々に元気に起き上がってくる。


今では『ステラナ』で作った『Protect lifeせいめいのかじつ』のアンプル瓶が1000本以上俺の異空間収納に入っている。

出来れば使う機会が無い事を願うのだが・・・


死にそうだった5人の内1人が俺に歩み寄り

「私はこの商隊を率いておりますドーズワーズ商会創業者のステインダートと申します。この度は助けていただいてありがとうございます。今日夕方近くになりオレキスで一泊しようとも考えたのですが、無理をすればエレノアの街まで行けるだろうと思ったのが失敗でした。あのままオレキスの街で一泊しておけばと悔やまれます。


それに貴重な薬を使って頂いたみたいでありがとうございます。薬代としてお幾らお支払いすればよろしいでしょうか?」


と丁重に聞いてくるステインダートさん。

「あの有名なドーズワーズ商会のステインダート様でしたか。私が作った物なので薬代はタダ同然ですので貰わなくて大丈夫ですよ」


「それは困ります。商隊の大事な荷物を守って頂いただけでなく私達5人の命も救っていただいた恩人に何もしないなんて・・

あ・・今私をしっておいでとおっしゃいましたな?

私には記憶がございませんがどこでお会い致しましたでしょうか?」


「私の父アルフレッドが存命の時、舞踏会で父と何度かお会いした時がございます」

「もしかしてアルフレッド様と言えばエドワード公爵家でございましょうか。するとあなた様がお子様だった頃と申しますと・・おお~~ライアン様でしょうか?」

「はい王都でその節はお世話になりました」

「このような所でお会い出来るとはなんという奇遇でしょうな。では尚更このまま何も出来ないでお返しする事は出来ません、なにとぞお礼をさせて頂きたい」


『困ったこれじゃ堂々巡りだな・・』


そう思い

「それでしたらもしも私が困った時に頼った時、後ろ盾になっていただけないでしょうか?」

そういうと

ステインダートさんは困ったように

「其処まで言われたらしょうがございませんな、ライアン様が私どもを頼られた場合は全力でご支援いたしましょうぞ」


と言って深々と頭を下げてきた。

そして

「助けていただいたついでにお願いするのは心古しいのですが、これからオレキスに帰ろうと思うのですが護衛をお願いできないでしょうか?」


とお願いされた訳だが・・・

ステア、ティナ、ナサリーを見ると


『うんうん』

『うんうん』

『うんうん』


っと3人も頷いているから『受けて良い』って事なんだろうな。

まあ俺達が助けた後、また襲われたって言われたら嫌だもんな!!

「ええ~良いですよ。でも少しだけまって頂けますか?此処にあれだけの山賊が居たって事は山賊のアジトがこの近くにあると思うので、其処を潰しておきたいのですよ」

「おお~それは有難い。私どももそうして頂けれるとそれ以降安心して此処を通れます。是非お願い致します」

ということで話が纏まった為に、ステア、ティナ、ナサリーにドーズワーズ商会の商隊について此処で守ってもらっている間に俺が山賊のアジトを俺が襲撃する事になった。


俺は殲滅した山賊の死体を異空間収納に格納した後、森に入り気配感知を発動

ここから1キロくらい奥に40人位の反応があるよう・・・

直前まで飛行魔法で飛行して1キロほど飛ぶと・・・


木を広範囲に切った開けた場所に出てきた

そして

木を切って高さ2メートルの杭で周りを囲った50メートル四方の砦らしき物が視界に入ってきた。

結構大きな砦だ!!


武器を持っている人間が10人くらい?

砦の奥を取り巻いているよう

そして檻?の中に30人ほど人が居るよう・・

俺は光の矢を10本発現させて一気に上空に放つと

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」

「うっ・」


っと声を出す前に絶命したっぽい。

俺は砦の中に入ると・・・

やはり10人の武装した山賊ふぁ心臓を一突きされて絶命していた。

そして中央奥に気で作った檻の中に30人ほど捉えられた人々が居た。

俺はまず10人の山賊の死体を異空間収納に収納


そして周りを見ると倉庫のような建物が・・

大きさが20メートル四方くらいか・・

入口には鍵がかかっているよう!!

俺は刀で一気に倉庫の入口を切り裂いた。


「ギギギギギーーー」


「バターーーーン」


音を立てて崩れ落ちる丸太でできた入口の戸

20メートル四方の丸太小屋の中には・・・

金銀財宝、商隊の荷物などが山積みされていた。

全部を異空間収納に収納!!


『これって誰の物になるんだろうな?』


まあ今は考えている場合じゃ無いか!!

財宝を異空間収納した後外に出て檻の傍まで来てみると檻の中に閉じ込められているのは全員が若い女性だけ30人程・・

他の人間は・・・


『居たよ・・』


俺は思わず目を背けてしまっていた。

無残に切り裂かれて物みたいに積み重ねられた男たちの死体の山・・・

可哀想だが・・ここまで腐敗したら無理だろう・・・


『酷い事をする』


俺は土魔法で一気に土の中に死体を引き込んで墓標を立てて手を合わせる。

そして鍵の掛かった檻の扉を剣で一閃

「ギギギギギーーー」

「バターーーーーン」


と刀で斬った扉が地面に倒れ土埃を上げる。

俺は一応檻に閉じ込められている女性達に

「山賊は全員討伐した!!もう大丈夫だから出てきてくれ」

とお願い。


すると力なくゾロゾロと檻の中から歩いて出てくる。

「みんな何か食べさせてもらっているのか?」

と聞くと

「2日ほど食べさせてもらっておません」

とひとりの女性が答えてくれる。

俺は木を何本か切り倒してテーブルを造り、丸太を切って椅子にする、

そして、俺は異空間収納から『ステラナ』で作られた焼き立てのパンとチーズを出して『ステラナ』でできたフルーツも出してやると砂糖に群がる蟻のように一気に食事に群がりみんな一斉に食べだした。


・・

食事を囲む風景をみながら・・

『この女性達どうしたら良いのか・・』

多分家族を無くして精神的にも辛いだろうしな・・

ステア、ティナ、ナサリーに聞いてから彼女らがどうしたいのか聞くしか無いよな。


『またステア達の厄介ごとを持ち込んでって言われそうだよな』


つづく・・・

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