第72話 『オレキスギルド支部への報告』



今の時間は夕方5時手前

ここからエレノアまでゆくのはまだ40キロ以上を移動しなければいけない!!

オレキスの街であればここから7キロあまりなのでドーズワーズ商会のステインダートさんにこれから夜になるダークウィーズの森の中をこのまま突き進んでゆくのは、魔獣が出没する危険があるからと説得し、俺達は一度オレキスの街に帰る事になった。


ステインダートさん達はドーズワーズ商会の商隊の馬車での移動

1時間程度でオレキスの街まで着けるだろう。

しかし問題は助けた女性30人、歩けば最低ででも4時間以上はかかるだろう。

なので!!

ここは非常手段!!


ダークウィーズの森の木を3本切り倒し、1本に十箇所座る為の窪みを作成

そしてもう一本短い丸太を切り倒し窪みを4個作成

その丸太に浮遊魔法をかけて即効の


『空中輸送機』


を作成し他助けた女性を1台10人、3台で30人、そしても一つ短い丸太に俺達4人が乗り込みむ。


ドーズワーズ商会の馬車10台が先導し、その後を助けた女性が乗った『空中輸送機』そして俺達の乗った『空中輸送機』が追随する。


ステインダートさんが是非ドーズワーズ商会にも作って欲しいと即効でお願いされたのだが、使う度に俺が毎回飛行魔法をかけないと使用できないと伝えると仕方なく諦めたみたいだ。


こんなものこの世界に存在したら世界自体が変革してしまう。

今の所、飛行魔法を使えるのが俺だけっていうのは安心できる。


現在俺の後ろで丸太に乗っているステア、ティナ、ナサリーは天使の姿の飛行モードは解除中である。オレキスの街を経由してティナの故郷ルクトニア王国に行く為にできるだけ目立つわけにはいかないのだ。

今回の出来事はイレギュラー!!

まさか、ステア、ティナ、ナサリーの戦闘訓練が何処まで上達しているかダークウィーズの森の中で狩りをしながら確認中に盗賊団の襲撃を見るけるとは思っても見なかった!!



ドーズワーズ商会の人達と助けた女性達には3人が天使だという事は秘密だと釘を刺してある。

3人は天使では無いのだけれど、最初にであった時にあの姿見せちゃってたし、3人が天使だと思い込ませるような事を言っちゃってるからな~


オレキスの街の前1キロの所で『空中輸送機』を降りて俺達3人と助けた30人の女性は徒歩でオレキスの街に入る事にし、ドーズワーズ商会の馬車は移動速度が違う為、先にオレキスの街に入ってもらう。


たかが丸太!!

でもそれにまたがって空中を飛行してたら驚くから上だよな!!

なので俺達は乗っていた丸太を降りて徒歩に切り替えたのだ。



俺達がオレキスの街の西門に着いたのは午後5時をすこし過ぎた頃、オレキスの西門の門番に理由を説明し先にギルドに連絡を入れてもらうようお願い。

流石に30人もの身元不明の女性30人も連れていたら怪しいよな!!


オレキスの街は人口300万人の周囲を城壁で囲まれた約10キロ四方の都市

街の中心にオレキキス公爵の住むオレキス城がある。

オレキスの街に入って4キロ近く歩いたオレキス城の1キロ手前のルクトニア王国、オレキス、エレノアを結ぶ街道の脇にオレキスギルド支部はある。

重厚な鉄の扉を潜りオレキスギルド支部の館内に入ると、既に連絡が届いていたのだろう1人の40代の男性と20代の女性2人そして想定外のドーズワーズ商会のステインダートさんが出迎えてくれた。


『ギルド職員は美人じゃないと取らないのか?』

このギルドの館内見回してもピカイチの美人だろう・・


何故にドーズワーズ商会のステインダートさんが此処に?

と聞くと

ドーズワーズ商会のステインダートさん曰く

「盗賊団に襲われた私が居たほうが話が解りやすいだろう」

との事だった。

「私が西門の衛兵さんにお願いして連絡してもらったS級冒険者でパーティー『希望の砦』を結成しているライアンと俺の仲間ステア、ティナ、ナサリーです。そして後ろの30人が今回盗賊に囚われていた女性達になります」


と挨拶すると

「よく来て下さいました。そして今回はお手柄でしたな。私はオレキスギルド支部長ドウェインですよろしく」

と言って手を差し出して来る。


ドウェインギルド支部長は俺達をギルド長室へ案内しようとしてくれるが、30人以上もギルド長には入らない為に、ギルド長が連れていた女性の一人

名前を聞くとナディアさんというらしい

名前を聞かなかったもうひとりも

「私はヘレナです」

といってニコッと笑顔を作り俺の手を握ってアピールしてくる。

押しの強い女の子だ。2人に金貨1枚づつ渡してた後、金貨10枚の入って革袋を渡して助けた女性達に何か食べさせてやって欲しいとお願い。

説明役に俺が砦で助けた時に一番最初に質問してくれた女の子だけギルドへの説明役に残ってもらった。

名前は俺が名前を聞く前に自分から

「私はルクトニアに住んでいたマーサです。以後マーサとお呼び下さいませご主人様。現在19歳独身です」

と俺の手を握ってアピール。

この子もティナには負けるが綺麗な女の子だ。

しかし押しの強い女の子だな!!

『ううう・・ステア達の視線が痛い・・』


ドウェインギルド支部長を先頭に俺、ステア、ティナ、ナサリー、そして助けた女性のマーサさん、そしてドーズワーズ商会のステインダートさんの7人がギルド長室に入る。


向こう側の席にドウェインギルド支部長

反対側にステア、ティナ、ナサリー、マーサさん

4人が座れば一杯だな・・

という訳で、俺とステインダートさんがギルド長側に座り、出来事のあらましをドーズワーズ商会のステインダートさんが説明、そして俺が砦で助けた時の事を報告し、盗賊団の砦に捕らえられていたマーサさんが盗賊団に襲われた時から俺に助けられるまでの事を話してくれた。


「最近特に盗賊団の活動が激しくなったと思ったら、100人以上も盗賊団が徒党を組んでいたとは驚きだが、本当にそんなに居たのか?」

とドウェインギルド支部長が首を捻っているがドーズワーズ商会のステインダートさんが

「間違いないですよ私達が襲われたんですから」

と机を


『ドンッ』


っと叩きながら抗議

盗賊団に囚われていたマーサさんも涙ながらに

「ダークウィーズの森の街道で歩いている旅人達を、100人以上の盗賊が一気に周りを取り巻いて襲って来るんです。逃げれる訳無いですよ」

と説明してくれる。


俺はドウェインギルド支部長へ金貨100枚の入った革袋を渡しながら

「盗賊団の砦から助け出した若い女性達ですが、若い女性以外は惨殺されていました、若い女性は奴隷商に売るために捕らえていたんだと思います。なので捕らえられていた女性で帰れる所のある人に対しては路銀として渡して欲しいのです。それと行く当てのない人は私の方で何とかします。実は私達『希望の砦』のメンバーは国王の依頼で、これからルクトニア王国の首都ルクトニアへ向かわなければなりません。それまで宿屋の宿泊費と生活費に当ててもらえないでしょうか?もし足らない分はその時お支払い致します」


と言うと

ドウェインギルド支部長は

「何とデニス国王様直々に依頼されたという事ですか?」

と俺達がデニス国王から依頼されたのが不思議らしい・・

確かに!!

デニス国王から依頼はされてはいない!!

ルクトニアへ行くと伝えたのは俺の方だ


「ルクトニア王国は5日前どうも内乱があったみたいで、近いうちにナルサス王国へルクトニア王国軍が進軍して来そうなのです。我々はその兆候が有るか確認に行く途中なのです」

とドウェインギルド支部長へ伝える。

本当は、全くの口から出任せです。

本当はティナの故郷がどうなっているのか心配なだけです。

『ティナの家族がもしも、まだ生きていたら助け出したい』

そんな事は他人には言えない!!


すると喋ってきたのは何と盗賊団に捕らえられていたマーサさん!!

「ルクトニア王国の首都ルクトニアは5日前内乱が起きてザクトル将軍がルクトニア王国の実権を手中に収めました。今王城には20万の軍勢が出兵準備をしています。そして2日後捕らえられた王族の処刑が王城前の広場で行われると聞きましたので処刑は明日だと思われます」


ととんでもない事を話してくる。

俺はティナに一瞬視線を向けると・・・


手が震えている!!


『これはマズイな!!一刻も早くルクトニアの街に入って情報収集しなければ!!』


『何としてもティナの家族を助け出し!!』


俺はそう決心し

「ドウェインギルド支部長、彼女達の事お願い出来ないでしょうか!!俺達はこれから直ぐルクトニア王国に旅立ちます」


と言うと

ドウェインギルド支部長は

「それは良いが盗賊団の詳細を俺も報告しなければならん。何は証拠になるような物は無いか?」

「では盗賊団の死体で良ければおいてゆきますが?」

と俺が言うと

「では解体場に出してみてくれ」

という事で今解体場までやってきた俺達

そして解体場一杯に盗賊団の死体を出すと


「これは盗賊団『悪魔の牙』の頭領のダルではないか」

「こっちは盗賊団『火の舞』の頭領のトラストか」

「それに盗賊団『死霊』の頭領ドレン」

「盗賊団『死神』の頭領アルドもいるではないか!!」

「こっちは盗賊団『厄災の爪』の頭領ドルトンか?」

「それにしても、複数の盗賊団が徒党を組んで協力していたとはビックリだな。おいナルシス今言った盗賊団の手配書を持ってきてくれ」

とナルシスと言った20代前半の男に指示を出している。


5分後ナルシスと言われた男の人が手配書を持ってきた。

盗賊団『悪魔の牙』ダル   賞金額 金貨100枚

盗賊団『火の舞』 トラスト 賞金額 金貨50枚

盗賊団『死霊』  ドレン  賞金額 金貨300枚

盗賊団『死神』  アルド  賞金額 金貨200枚

盗賊団『厄災の爪』ドルトン 賞金額 金貨50枚


ドウェインギルド支部長は手配書を見ながら

「これは凄いなこんなに一度に賞金首が一度に討伐された事は無いぞ!!それも頭領だけの賞金額だけでも金貨700枚、それにここに並んだ盗賊の中にも賞金首になっている者もまだまだ居るようだ。全員の死体を検分してみないと解らないが今回の賞金額一体いくらになる事やら、全部の金額が出揃ったら怖い気がするな」


とため息をついている。

今回の討伐の賞金の受け渡しは、俺がルクトニア王国から帰ってオレキスギルド支部に帰って来た時に渡してもらえる事になった。

ドーズワーズ商会のステインダートさんの俺への依頼はギルド経由で連絡してもらう事にして、俺達は後の事をドウェインギルド支部長へ一任しオレキスの街を後にしルクトニアの地に旅立ってゆく。


つづく・・・

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