第49話 『対策会議』

俺達が呼ばれた部屋は、王城の最上階の3つある最初の部屋

高さは5メートルくらいだろうか?真ん中に大きなシャンデリアが吊るされてあり、散りばめられた宝石が眩しく輝いている。

多分シャンデリアは魔道具なのだろう。


この世界では魔法とは世界に満ちる魔素を取り込んで体の中に魔力として貯め込み、その貯め込んだ魔力を魔法として放つ又はこの世の中に現象として発現させた物と言ったらいいもだろう。


この世界で魔法の才能のある者は少数、割合で言えば全体の3割が魔法の適性が有ると言われているが、適性が有っても魔法が使える訳ではない。

ちゃんとした魔法学校で魔力の扱い方を勉強してやっと出来るものなのだ・・と世間では言われている。


そして現在、魔道具を作れる人間はもうこの世界には誰一人存在していない!!

今出回っている魔道具は古代帝国が作成した物・・そうステアが言った『ラナの遺産』と言われている物。


その『ラナの遺産』の一つである魔道具はどういう訳か、とあるダンジョンでのみ魔獣を倒すとドロップ品として出てくるのだ。


そのダンジョンの名前はその名も

『魔道具のダンジョン』

何故そんなダンジョンが存在するのか?未だに不明

ただこの世界の人間はそれが普通と考えている。


『昔からそうだったから・・?』


魔獣を狩って魔道具一つをドロップしたとしたら、それはもう一生遊んで暮らせるお金が入って来るのだ!!

こんな割のいい仕事は無い!!

そういう訳で一攫千金を狙い毎日何千人という人間が

『魔道具のダンジョン』

に挑戦しているらしいが殆どの人間は帰ってこれない。

100人規模のクランでも組んで共同で狩っても1000組に1組魔道具をドロップ出来るかどうからしい。

『魔道具のダンジョン』はそれを奏して『人食いのダンジョン』と言われている通り死んだ人間はダンジョンに吸収されるように消えてゆくらしい。

それでも一攫千金を狙い夢を見て魔道具をドロップする為に、この世界の人々は命の危険を顧みず『魔道具のダンジョン』に潜り続けるのだ。


タダ・・他のダンジョンでもダンジョンの階層主を倒した時、そのダンジョンに潜っただろう冒険者達が持っていた魔道具がたまにドロップする事がある。

『魔道具のダンジョン』以外では魔道具がドロップするのはボス部屋でのドロップ品くらいのものだ。


魔道具はダンジョンでドロップされる!!この世界の人間はそれがこの世界の普通なのだと当然のように思っている。

だからなのだろう・・

『デニス国王やナルクギルド長が俺から3人の飛行魔道具を作ったと聞いた時相当にびっくりしていた』

それは、当然なのかもしれない。


『魔道具ってダンジョンからのドロップ品しか無いはずなのに俺が飛行魔道具作ったって言っちゃったよ!!俺マズい事言っちゃったかな?』


部屋の大きさは縦10メートル、横20メートルの部屋で中央に部屋に合わせた大きなテーブルが設置されている。

手前にデニス国王、ラナリア王妃、リチャード皇太子、ソフィア皇太子妃、エンサー宰相、トレイシー騎士団長と着席し

反対側に

ナルクギルド長、俺、ティナ、ステア、ナサリーと続く

俺の前がラナリア王妃

そのラナリア王妃と視線が偶然合った途端に


「クスッ」


っと手の甲で口を思わず隠しながら

「ライアンさん本当にお綺麗ですね」

と笑いながら・・

目に涙まで溜めてるよぉ~

俺は


「そんなに笑わないで下さいラナリア王妃~恥ずかしいですよぉ」


と真っ赤になっているであろう顔を思わず両手で隠す。

「あら、ライアンさんは本当に男の方ですの?私未だにライアンさんが男の方だとは信じられないのですが」

とラナリア王妃が言うと空かさずデニス国王が


「ナルクに男だと言われたから信じずにはいられないが儂だって未だに信じれんわい」


と腑に落ちないふう。

「これはステアとティナに女の子の仕草はそんな風じゃ無いと頬を引っ張られながら女の子の仕草と女の子の声の練習を徹底的に叩き込まれた結果ですぅ~。もうこの格好なんだから女の子として見れば良いでしょ?そんな事よりも『ナリア帝国』絡みの出来事をご報告したいんですけど良いでしょうか?」


と俺は説得。

『俺は正直この格好の事でこれ以上突っ込まれたく無いんだ!!』

デニス国王が

「おうそうであったな。では昼時でもあろうから、シェトリア食事の準備を始めてくれないか?」

と侍女に指示をする。

侍女が

「畏まりました」

とドアを開けて部屋を出て行ったのを確認しして俺は事の次第をかいつまんで説明をする。


・・・

話し終わると早速リチャード皇太子が

「キメラが全部で9000体に『ナリア帝国』の兵士が3000人それを3人で殲滅だと~嘘も大概に言え!!」

と凄い勢いで怒りだした。

俺はテーブルの上に、長さ5メートル、高さ3メートルの一体の仕留めたキメラを


「ドスン」


と一気に異空間収納から取り出して出現させると


「おおおおおおおおおお・・・」

とリチャード皇太子は・・

『キメラの今にも襲ってきそうな死に体を見て・・失神・・』


と同時に

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

っとソフィア皇太子妃は驚いて立ち上がったはずみで椅子ごと後ろに倒れそうに!!

俺は・・

一瞬空中に飛び空中で一回転しソフィア皇太子妃の後ろからお姫様抱っこでキャッチ!!


「ひゃう~」


と素っ頓狂な声をあげて俺の顔をお姫様抱っこされた下から見上げているソフィア皇太子妃

俺にお姫様抱っこされたソフィア皇太子妃は


「あ・・ありがとうございましゅ~」


とお礼を言ってきたので

「私こそリチャード皇太子様の言葉に反応してキメラの死体をあんな風に出してしまって申し訳ございません」

と一応誤って、席に着いる皆にも一礼しておく。

「あ・・あにょ~も・・もうだいじょうびゅ~でしゅかりゃ~おろしていただかしゅかあ」

とソフィア皇太子妃が真っ赤に顔を染めたまま俺にお願い

俺は


「す・・すみません。直ぐにおおろしいたします」

と断って、椅子にソフィア皇太子妃を座らせた後、テーブルの上のキメラの死体を異空間収納


皆の方を見ると・・

デニス国王、

エンサー宰相

トレイシー騎士団長

それとナルク


顔が真っ赤に染まってるんだが・・

『皆さん私のパンツしっかりと見ちゃいましたね?』

ラナリア王妃は

「ライアンちゃん可愛い下着着けてましたね~私もそんな下着が欲しいですわ。多分デニスがそんな下着を好きそうですよ?」


とドストライクな指摘を~~~


『ラナリア王妃さま~~そんな恥ずかしいドストライクな事を言わないで~は・・恥ずかしいです~もしかしてそんな事を言われるって事はラナリア王妃様はデニス国王様を悩殺下着で毎晩誘惑とかされてませんか~~?』


ソフィア皇太子妃は・・

「うふっ~らいあんちゃん・・す・・・素敵でしたわ~か・・可愛いです」

と意味不明・・

何が可愛いんだ?

『ちょっと嫌な予感がします・・ソフィアさんも私のパンツ・・多分・・見ましたね・・?』



リチャード皇太子は気絶してるからラッキーか!!

ティナ、ステア、ナサリーはソフィア皇太子妃の反応に怒ってるな・・

事情が事情だから納得はしているみたいだが・・


俺はそんな皆を無視して

「デニス国王様、今回のダークウィーズの森の北の草原で起きた『ナリア帝国』のキメラ軍団の伴った進撃はシャルロッティーナのルクトニア王国のザクトル将軍の反乱による軍事クーデターや今回のゼルド公爵家の領地で『騎龍』に襲われた件も全部繋がっているように思うのです。

なので私はティナ達の訓練が終わり次第ザクトル将軍の反乱で奪われたルクトニア王国を奪還する為にルクトニア王国に出向こうと思います。

ルクトニア王国の件が片付くまでゼルド公爵家が反乱を起こさなければ良いのですがそれが心配です。


一番の懸念はルクトニア王国、ナリア帝国、ゼルド公爵家が反乱を起こし同時にこのナルサス王国の首都ランドリアを陥落させる為に同時進行する事です。

事実今回ルクトニア王国はザクトル将軍の反乱で奪われナリア帝国の進軍に合わせオルキス侯爵家の首都オルキスを攻め落とす予定だったのでしょう。

ゼルド公爵家も私の予想ですが、ナリア帝国が進軍を開始しエドワード侯爵家の首都エレノアを攻略しゼルド公爵家の領地でナリア帝国とルクトニア王国の軍が集結と同時に一緒にナルサス王国の首都ランドリアを陥落させるつもりではなかったのかと思われます」


とデタラメ?

俺がティナの為にルクトニア王国を奪還して良い所を見せたいだけのハッタリだったのだが

・・

『よく考えてみれば辻褄合ってるんじゃ?おお~~クレイジーだぜ~~!!』


俺はそういった瞬間


『ギュッ』


とティナに抱き締められ


『ちゅっ』


っとくちびるにキ・・キス・・された~~~~~~

『国王達の前だぞ~~~~~~~~』



そんあティナは・・

涙を一杯貯めたうるうるした瞳で

「ライアンわたしの為にありがとう」

と言って皆の前ながら・・・抱き締められたまま・の俺


『言っちまった~~言っちまった以上、もう引き下がれない!!やっっきゃ無いな!!』


俺の話に早速エンサー宰相が食いつき

「ルクトニア王国とゼルド公爵家をナリア帝国が裏で手を引いていたとしたら、今ライアン殿が言われた方法をそのまま取られていたらこのナルサス王国は陥落されていたでしょうな・・


ライアン殿はルクトニア王国、ナリア帝国、ゼルド公爵家が連携した再度の進軍は何時頃だとお考えかな?」

と俺に深刻な表情で聞いてきたので

「ナリア帝国のキメラの量産が何処まで出来るかで決まって来るでしょう。

今回は先遣隊で投入した1000体、そして3000人の兵士と進軍させた8000体が進軍してこようとしていました。ルクトニア王国とゼルド公爵家の兵力を合わせればそれで十分と思われたのでしょう。

今度ナリア帝国が進軍するとしたらキメラ50000体、兵士50000人くらいの兵力となると思われます。

そう考えれば1か月くらいの余裕は有るのではと考えています」


とまたまたハッタリ?

『ナリア帝国がキメラをどの位の速さで量産できるのかという事にかかっている気がするんだよな・・』

50000体のキメラを1か月?出来るのかな?

でも最悪を想定して動いてもらった方が良いからな・・・

それくらい脅しておいた方が良いだろう!!


つづく・・・

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