第35話 『初戦は緊張するよな 』

俺がサンダーウルフを相当数、殲滅したとは思うが、まだダークウィーズの森に入っているサンダーウルフはまだまだ居ると思われる。


ナリア帝国が作ったキメラの魔獣軍団

サンダーウルフは結局は最強の魔獣を作り出す過程で作り出された試作品?だったのかもな・・・


サンダーウルフも戦闘力としては弱い訳ではない。

でも心臓を一突きすれば確実に殺す事が出来る魔獣。

ナリア帝国もキメラを量産する事が出来るようになった為に、不要になった試作品の処分に困って俺達の国、ナルサス王国を混乱させる為、送り込んできたのだろう。


用済みになったら捨てる・・か・・

サンダーウルフも考えてみれば可哀想な奴らなのかもな。

でも、このまま放っておけば確実にこの国の驚異。

この街道の安全の為には狩るしかない。


それにしても・・

前を歩いている3人、まるでピクニック気分だな。

ふりふりのドレスを着て、肩から可愛いポーチを下げている何処かの令嬢ぽい3人の可愛い女の子が場違いの鬱蒼と茂る木々の中を金色の弓を片手に持って歩いている。


俺はそんな彼女達を横目で見ながら、気配感知で広範囲を探索

魔獣が居ないか確認していると・・・


『居るわ居るわ・・200頭近くのサンダーウルフの群れ』


ナリア帝国の奴ら何頭このナルサス王国に連れてきて捨てたんだよ!


どうも俺達を遠巻きに360度取り巻きながら徐々に範囲を狭めてきているようだ。

完全に囲まれてる!!


俺は前をピクニック気分で歩いているティナ、ステア、ナサリーに

「サンダーウルフの群れに囲まれ始めてるわ。そろそろ攻撃の準備して」


と3人に攻撃耐性に入るように指示。

自動追尾の矢だと伝えてはいるから大丈夫だとは思うけど・・

これが初戦だからな~


初戦でサンダーウルフの200頭近くの群れって少しキツイ?

せめてゴブリンとかオークの群れだったら良かったんだか・・


3人は弓を構えて全方向に注意をしながらゆっくりと森の中を進んでゆく。

『静かだ』


『静かすぎる』


俺達が朽ちた木々を踏み折りながら歩く音だけが森の中に響く


俺が3人にサンダーウルフの群れに囲まれていると言ってから5分くらいした頃

10メートル以上はある木々の間から


『チラッ』


『チラッ』


『チラッ』


『チラッ』



っと2メートル以上はあるサンダーウルフの体が見え隠れするのが見えてきた。

周り360度全方向サンダーウルフの巨体が取り囲む。


一頭のサンダーウルフが


「ワォーーーーーーーーーーーーーー」

一際大きく吠えたのを合図に


「ガウゥーーーーーーーー」

「ガウゥーーーーーーーー」

「ガウゥーーーーーーーー」

「ガウゥーーーーーーーー」

「ガウゥーーーーーーーー」

「ガウゥーーーーーーーー」

「ガウゥーーーーーーーー」


全方向から俺達を目掛けてサンダーウルフが鋭い牙を俺達に向け突っ込んでくる。

ティナは・・

「キャーーーーーーーー来ないで」


と悲鳴を上げてパニック


やはりティナにはきつ過ぎたか!!

俺は心の中で思わず舌打ち

『ティナはダークウィーズの森でサンダーウルフに手足を食い千切られて死ぬ寸前だったのだから!!』


ステアとナサリーもティナの悲鳴に驚いて

「イヤーーーーーーーー」

「来ないでーーーーーーーー」

と言った瞬間に3人の目の前に数千本の光の矢が出現した次の瞬間!!


俺達の周り360度広さ100メートルの間の10メートル以上あった木々は一瞬で無くなり眩しい太陽の日差しの差し込むミステリーサークルが出現していた。


つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る