第24話 『成長する古代遺産』
ナサリーの質問は凄く自然な事だと思う。
エレノアの街ではもう真っ暗の夜の景色だったのに、此処『ステラナ』は明るい真昼の景色。
空の真上には、太陽が燦々と輝いていて、暑くもなく寒くもなく丁度良い気温
そして今まで見た事のない立派なお城
『それだけで此処が、普通じゃ無い世界だって解るハズ』
ナサリーの疑問に俺は
「此処はね、私にも良く解らないの。多分だけど、此処に居るステアも,ティナも解らないんだと思うわ」
って答えてしまう。
「それ何なんですか~答えになってないじゃないですか~」
ナサリーの当然の反応
「だって私だって今日・・・・」
・・・
と今までの経緯をナサリーに話して聞かせる。
「へ~そうなんですか~皆さん私がギルドの受付で仕事をしている間に大変な目にあってたんですね~めちゃめちゃ凄い一日だったって感じですよね。じゃ~此処が何処なのか皆解らないんだ~不思議な所ですね」
ナサリーはカップの果実ジュースをそう言って一気に飲み干した。
ナサリーは食べると気が一気に緩むようだから
「ステア今日洋菓子屋さんで買ったショートケーキ皆で食べようよ」
と俺はステアに声を掛ける。
今日買い物した物は全部ステアの魔法のポーチの中に入っているからだ。
俺の方は、異空間収納から紅茶セットを取り出して皆に紅茶を入れてゆく。
ステラは、魔法のポーチからお店の商品を全部買った中から適当に4つのケーキを出して俺の用意したケーキ皿に乗せてゆく。
ステアが取り出したケーキは生クリームにイチゴを沢山飾り付けたケーキだった。
ステアがケーキ皿にケーキを出した瞬間、皆の表情がキラキラと輝き始めた。
『女の子の体はお砂糖で出来ている』
って聞いたことが有る・・
『だから甘い物が好きなんだ』
と妙に納得したものだった。
そう言えばナルシア王国で正室として嫁入りしたフェリシア姉さまも甘いものは特に好きで、お菓子を食べてる時の姉さまは幸せそうな顔何時もしてたもんな。
クッキーを出した時の、ティナやステアも凄く幸せそうな表情してたもんな~
「これはシャルレのショートケーキですね~私もシャルレのショートケーキ大好きなんですよぉ~今日食べれるとは思いませんでした~いつの間に買ってたんですか?」
「東門から入ってギルドに行く前に買ったのよ・・・お店の商品全部・・」
「えええええええええええええええ~~うそ~~金貨何枚払ったんですか~~」
「金貨ほんの5枚程だぞ?」
「き・・金貨5枚程って簡単に言いますけどね~私の一ヶ月のお給料金貨2枚なんですよ~それだけで私のお給料の2ヶ月半分が飛んじゃってるんですよ!!皆さんどういう金銭感覚してるんですか~~!!それにまだギルドのサンダーウルフ討伐の報奨金も受け取って無いでしょ?」
「今日使ったの大した金額じゃないぞ?
パン屋さんで金貨5枚だろ
紅茶屋さんで金貨10枚
洋菓子屋さん金貨10枚
洋服屋さんで金貨100枚
合計しても金貨125枚しか使ってないぞ!!」
と俺が言うと
「き・・・金貨125枚・・・」
と言ってナサリーは・・・
『固まった』
「お~~いナサリー生きてる~?」
俺はそう言いながらナサリーの目の前で手を振ってみるが・・・
『反応が無い?よほどショックだったのか?』
俺は悪戯心が出て
『ちゅ』
っとナサリーの頬っぺたにキス!!
「ひゃうぅうぅ~~~~」
素っ頓狂な声を上げて復帰したナサリー
「にゃにしゅるんでしゅか~~~」
「お、生きてた~」
と言うと
・・・
全員から睨まれた!!
『俺何かヤラカシチャイマシタカネ・・?』
「ライアンちゃん~!!」
「ライアンちゃん~!!」
ステラとティナの表情凄く怖いです・・・
俺は・・
俺は・・
このままでは・・
『殺されるかも・・』
そう思い
『ちゅっ』
『ちゅっ』
っとティナとステアのほっぺにも素早くキスをする。
「えへへぇ~それで良いんですよ~ライアンちゃん」
「そうすれば良かったんですよ~~解ってるじゃないですか~」
とティナとステアが満面の笑顔で返してくれる。
『おおお~死なずに済んだぜ俺~~危なかった・・』
ナサリーが再起動して
「今日って言いましたよね?今日1日で金貨125枚も使っちゃったんですか?」
「そう言ったけど、何か問題でも?」
「あのですね~私のお給料5年分が今日一日で飛んだって事ですよ?解りますライアンさん?」
そんなナサリーの追求にステアが助け舟を出してくれる。
「ナサリー、ライアンちゃんは今日帰りの東門の検問を待ってる時に商人さんににお願いされてサンダーウルフの肉を200頭分売ったんですよ。そのお金だけで金貨2000枚入ったんですよ。1日で125枚使っても残りまだまだ当分ありますよ?それにライアンちゃん別に金貨1000万枚ほど持ってるって言ってましたから、当分はお金に困らないと思いますよ?」
と言ったのがいけなかったのか・・マタマタ
ナサリーは
『固まった』
今度はキスなんてしないぞ!!
「お~いナサリー生きてるか~~?」
『ツンツン』
『ツンツン』
と人差し指でナサリーの頬を突っついてみるとその瞬間
「ひゃう~~~」
素っ頓狂な声を上げてナサリー復活
「もう驚きから上ですよぉ~」
「ナサリーお金には苦労してきたんだ」
するとうるうると涙目になりながら
「解ります~?私5人兄弟の末っ子なんですよぉ~」
と遠い目で上を見て何かを思い出しているよう。
あ~みんなそういえばお金持たせていなかったんだっけ!!
何かあった時にお金ナイト困るだろうしと思い
「えっとさ~みんなお金もって無いだろうから一人金貨100枚づつ当座の資金に渡しておくから無くなったら言ってね」
と言ってティナ、ステア、ナサリーに金貨100枚入の革袋を1つづつ渡すと・・
ステアとティナは魔法のポーチにしまったが・・・
ナサリーだけは金貨の袋を持ったまま
マタマタ
『固まった』
本当に良く固まる奴だな。
ナサリーが魂が抜けた状態から復帰する間、俺達は紅茶を飲みながらケーキを堪能したのだった。
ナサリーが固まった状態から復帰したのを待って、仕留めた魔獣の吸収について話し合った。
魔核の抜いたサンダーウルフ約2000体
仕留めたままのサンダーウルフ3000体
そしてキメラ9000体
それにキメラに喰い散らかされたナリア帝国の兵士3000体
それらの処置について話し合った結果
サンダーウルフは肉の需要があるからそのまま置いておく。
ナリア帝国の兵士3000体のキメラに喰い散らかされた死体はナリア帝国の件が片付いてから『ステラナ』の大地に吸収させる。
キメラの死体はナリア帝国の事が片付くまで見つかる訳にはいかない為に、報告用に1000体残し吸収の方向でゆく。
ただ一気に吸収させると俺の体が持たないのと、あまり広い空間を開放しても管理が出来ない為にお城を中心として1辺2キロの範囲を開放するという事で話が着いた。前回吸収させたのは魔核だけだったが、魔獣の体全体も吸収可能らしい
その方が効率よくこの世界を開放出来るらしいが、その分体への負荷が大きくなるらしい。
どの位の数を取り込めば、どの位の広さが開放出来るのか試してみるしか無いな。
俺達は再度ドーム状の部屋に入り
東に ティナ
北に ナサリー
西に ステア
南を 俺
各自が東西南北を見て解除された空間を見ながら1辺が2キロメートルになった時点で終了とする事にした。
「不思議な空間ですね薄いベールでこのお城が囲まれていて、その向こうは解除しないと使えないってなんなのでしょう?」
とナサリーは未だに信じれないものを見ているような表情だ。
「じゃ~行くぞ~まず最初キメラ100体投入してみるからな~見ててね~」
そう言ってキメラ100体を吸収すると意識する。
「う・・ううううう~」
一気に体力持って行かれそうだ。
南は一気に100メートル程広がって湖まで行けそうだ。
じゃ~次の100頭を吸収してみるか、魔核だけを吸収させた時よりも大量に魔力を持っていかれるぞ。
「じゃ~次の100頭いくからね~」
「くぅううううう~~」
めちゃめちゃ魔力持ってかれる。
ステアが
「キメラ100頭で100メートルほど白いベールの境界が後退しているみたいですよ」
と状況を伝えてくれる。
「そうありがとう」
今200頭分のキメラを吸収させた所だけれど、凄く魔力をもって行かれている。
タダ・・・
広くなった分、魔力の回復が急速に早くなっているようなのと、魔力量がその分増えた気がする。
少し休んでいると
ティナが
「ライアンちゃん大丈夫ですか?」
ときにしてくれているから
「キメラの体を全部吸収させているからま録の消費が半端無い感じよ。でも解除されたエリアが広くなった分魔力量が多くなってるみたいよ」
と伝えると
「無理しないでくださいね」
「無理しちゃダメだよライアンちゃん」
「ライアンちゃんガンバ」
うんうんみんな優しいね~
「は~い無理しないようにゆっくりとやすみながらやるね~」
と言った後
「じゃ~次のキメラ100体いっくね~」
と言ってキメラ100体を吸収
ステアが空かさず
「ライアンちゃん350メートルくらい広がったよ~ライアンちゃんのレベルが上がったから同じ量の魔獣を吸収させても結果が違ってきて効率が良くなった見たいよ」
と教えてくれる。
「へぇ~そうなんだ~自分じゃ~全然解らなかったよぉ~こうやって確かめながら一つ一つ検証しなきゃ解らなかったね」
「最初はライアンちゃんが知らない内にサンダーウルフ達の魔核だけ吸収しちゃってたものね~あの時は私はお風呂入ってて気がつかなかったし、ステアも居なかったから、何をどうしていいかさえ解らなかったものね」
とティナが俺が魔核だけを最初に吸収した時の事を話している。
「じゃ~次400頭目いっくね~」
ステアが空かさず
「600メートル後退した~~凄い進歩じゃない」
「じゃ続けて500頭目いっきま~~す」
「うをぉ~一気に1キロメートル後退しちゃった~~凄い魔力効率だよ」
と言った瞬間一気に走ってきて俺に抱きつくステア
そして
感極まって
『俺のくちびるにキス』
思わず俺は意識が遠のいてゆく・・・
「ライアーーーン」
遠くで俺を呼ぶような気がする・・
『眠い・・すごく・・』
俺の意識は其処で途切れた・・
つづく・・・
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