第3話 『森の中で出会ったお姫様』

「主の想像通り、あの白い獣の姿が我だ。私は白の管理者、黒の管理者を取り込んだ主に全てを託す。我は主との同化の影響で殆ど力を使い果たした状態だ。暫くの間私は眠る・・・」


その言葉と共に頭の中には何も聞こえなくなってしまった。

な・・・何なんだ?

俺はどうなっちまった?

死んだんじゃ無かったのか?


イマイチ混乱して何が何だか解らねえ~

大体俺は生きてさえいるのか?

それとも・・・此処は天国で俺は死んでしまっているのか?


・・・


・・・


・・・


・・・

こうやって考えても全然解らねえ・・・


・・・


・・・


・・・


一つ一つ整理してみよう!!

俺は今日の朝、冒険者ギルドでダークウィーズの森のサンダーフルフの群れの討伐の依頼を受けた。

そしてダークウィーズの森に朝の7時半頃やってきた。

そして10分位して、黒い狼と白い狼が争っている光景に出くわしたんだ。

白い狼は黒い狼に心臓の当たりを黒い狼の牙で攻撃を受けて、瀕死の状態の時、白い狼は俺に多分助けを求めたハズ!!

俺は黒い狼と戦闘の末勝って、白い狼をダンジョン産超強力回復ポーションで死ぬ間際寸前の所で助けた。


白い狼が俺の顔をペロペロ舐めてくれたので仲間になったと俺は思った。

だが・・白い狼に俺の喉を噛み切られて俺は死んだハズ。


しかし起きたら、この部屋だった!!

そして頭の中に白い狼だった奴の声が聞こえた!!


『主よ・・・』


と・・・


そして


『俺と同化した』



と・・・


確かに言った!!


じゃ~あの白い狼は・・・


『俺と同化する為に、俺の喉を噛み切って俺の中に入って俺の体と同化した』


って事になるのだろう・・・


多分・・


『そしてこの閉じられた空間は白い狼が用意してくれた空間、そしてこの閉じられた空間を開けるには大量の魔獣を狩って魔獣の魔核を吸収?させないと他の空間は利用出来ない?』


そんな感じだと思う・・・

そう俺の直感は告げている!!

『そうなんだと解ってしまうと言った方が言いのかもしれない』


この当面の俺のやる事は、空間を使う為に大量の魔獣を狩って、魔核を確保!!

取り急ぎはギルドで受けたサンダーウルフの群れの討伐依頼を終わらせなきゃな!!


でもどうやってこの空間から、元の空間に戻ったら良いのかが解らない・・・

いや・・・

待てよ?


自分に聞けば良いんだ!!

俺はこの空間の事は知ってるハズ・・なんだ!!


ああ~~

そういう簡単な事だったんだ!!


『元の世界に!!』


そう思うだけで良かったんだ!!

そう思った瞬間、俺は今さっき白い狼と黒い狼が戦っていた森の中に居た。

鬱蒼と茂る木々の少し開けた空間

そしてその開けた青い空から差し込む木漏れ日が白い光のカーテンを森の中に引いてゆく。


お・・

気配感知!!


10?


いや


20?


いやいや


30?・・40?


いやいやもっと多い


50匹のオークの群れだな

何でこんなにも多くのオークがこんな森の中を高速で走ってるんだ?

もっと広い範囲をサーチしてみるか!!


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~

何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!何だ!!~~


オークの群れを四方から囲む用にサンダーウルフの群れが追ってきてるぞ!!

数は・・・

嘘だろ!!

300匹!!

300匹のサンダーウルフが群れでオークの群れを狩っているって超~~カオスだぜ!!

普通は逃げるよな!!

でも!!

俺は!!

今はやるっきゃない!!


『なんせ今の俺は大量に魔獣を狩って取り出した魔核が必要だからな!!』


これだけの数を殺るっていうと・・・

どうするかな~

やっぱ数で押すしか無いよな~


アイスニードル?

それとも

ファイヤーニードル?

う~ん森の中だからな

火は不味いよな~火事になっちゃうと大変だもんな・・


そうすると

アイスニードル

が一番無難か!!


そう決心すると、一気にオークの群れに向かって俺は走り出す。


『な・・・何だ~~一瞬でめちゃ加速!!早すぎ!!白い狼と同化したせいか?』

もう目の前にオークの群れが見えるぜ!!


『アイスニードル』

心の中で唱えると一瞬で住中に大量のアイスニードルが出現し50匹のオークの群れを一瞬で殲滅


お~~凄すぎ~~~

オーク位の早さじゃアイスニードルでもオーバーキルだな


兎に角、オークを狩った死体を異空間収納に収納しとかなきゃ、後続のサンダーウルフの群れに食い散らかされてしまうからな!!


狩ったオークの死体を一瞬で異空間収納した瞬間、後続のサンダーウルフの群れの先頭の姿が森の木々の間に見えた。


俺はサンダーウルフの姿が見えた瞬間、森の奥に向かって物凄い量のアイスニードルを一気に放つ。


「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

・・・


・・・・


・・・・


一気に50匹近くが一気に放ったアイスニードルの餌食になり一瞬で屍を晒す。

しかし!!

後続のサンダーウルフは俺と距離を取り、俺を円形に取り巻くように陣形をとり始めめ・・・

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

『バリバリバリ~』

・・・

俺の周囲から電撃を放つ

瞬間俺は

俺の周囲に水盾を展開

電撃を防いだ瞬間に木々の上に飛び上がり木々を足場に空中を飛びながら大量のアイスニードルでサンダーウルフの群れに攻撃


木々を足場に空中からのアイスニードルの攻撃にサンダーウルフは徐々に数を減らしてゆき10分後300匹のサンダーウルフは全滅した。


俺の異空間収納はオークの死体とサンダーウルフの大量の死体でウハウハ

大漁大漁~~

その後も、森の中で数100匹のサンダーウルフの群れによる狩りが至る所で行われており追われる獲物も狼、オークの群れ、5メートルもある熊、そんな物がサンダーウルフの数の暴力により狩られていた所を全部俺が逆に狩ってやった。


狩りを始めて2時間

今の段階でサンダーウルフ 1500匹

オーク 500匹

熊   50匹

狼   200匹                           

結構な魔獣を掃討した。

どうするかな・・・

まだまだサンダーウルフ居そうだぞ・・

一体この森にサンダーウルフ全部で何匹居るんだか・・・

もう直ぐ昼だし・・・

一旦此処で止めにして、ギルドに報告した方が良いかもな!!

一旦エレノアのギルドに帰ってみるかな

                      

そう思って、再度危険がないか辺りを気配感知でサーチ


ん?


・・・

すると人の気配が・・

人が居る?


サンダーウルフの群れに襲われてるっぽい!!

数は50・・

俺は人の気配のする方に一瞬で加速

「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!

急がないとあの襲われてる人間は多分死ぬ!!


遠いが、サンダーウルフの気配に向けてアイスニードルをぶっ放つ!!

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

多数のアイスニードルが森の中の空気を切ってサンダーウルフの群れに向かって飛んでゆく

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」

「キャイン」


アイスニードルの攻撃に多数のサンダーウルフが一瞬で倒れ、残るは木に持たれ必死にサンダーウルフから逃げる少女を取り巻き噛み付いているサンダーウルフのみ!!

白いワンピースを纏った少女は・・

サンダーウルフにより首を噛み切られる寸前!!

一瞬で少女にむかって加速、少女の周りのサンダーウルフを蹴り飛ばし、少女を抱えると同時に周りのサンダーウルフに一気に風の刃で切り刻む。


サンダーウルフの気配が消えたのを確認して少女の体を下ろし、木の根元にもたれかけさせる。


だが・・・もう・・


虫の息・・・

血を流し過ぎたようだ。

服はボロボロ

そして手足は狼に食いちぎられ出血多量で死ぬ寸前だ。


急いで異空間収納から、ダンジョン産の強力回復ポーションを取り出し飲まそうとするがグタッとなって力さえ入らない状態・・・


一刻を争う!!

女の子だから申し訳ないが・・・

『口移しでポーションを飲ますしかないようだ・・』

後で誠心誠意謝ろう!!


だが・・・

俺のその決心も一瞬で揺らいでしまう

それは

口移しで飲まそうと少女の顔に意識を集中すた途端に、少女のあまりの整った容姿に一瞬で固まった。

この世の者じゃない!!もう芸術品と言ってもいい!!

長く金色に光り輝く長い髪

瞳はつむっているが綺麗な大きな瞳なんだろう

真ん中にすっつと通った鼻筋

そして小さなピンク色に輝く唇

こんな可愛いこのくちびるから・・・

そう思っただけで体が熱くなり体が動かなくなる

『早くしなきゃ死んでしまう!!しっかりしろ俺~~!!』


俺は覚悟を決めて回復ポーションを半分口に一気に含み、少女の口に俺のくちびるをあて、舌を少女の口に押しいれて気道を確保し一気に回復ポーションを少女の体に流し込んだ。


「あんっ・んんん・・」


少女の気がついたか?

一瞬で目を開けた途端に


「あうあうあううううう~」

首をイヤイヤ振ってくる

俺はやっとくちびるをはなして

「緊急だったんだゴメン」

と謝って、残りのポーションを少女の体の傷口にかける。


「シュシュシュー」


煙をあげて欠損した手足が再生してゆく。

『流石ダンジョン産回復ポーション何時見てもこの感覚は慣れないものだな』


だが・・

『俺の内心は穏やかではない、だって彼女の唇を奪ってしまった訳だから・・』

言い訳は・・

これ以上しない方が良いだろう・・

背中から冷や汗が滲みだしてくる。

『何を言われるか?』

・・・

少女は欠損した体が再生してゆくのを見ながら、やっと自分がどうなっていたのか思い出したらしい。

少女はゆっくりと立ち上がり、スカートの両端をちょこっと摘んで

「助けていただいてありがとうございました」

と優雅に膝を折った。


生地の良いふわふわだっただろう真っ白なドレスにこの仕草・・こりゃ~お姫様・・・・だな・・・


「いえいえどういたしまして。助かって良かったですお姫様」

と俺が言うと

「え・・どうして私がお姫様だと?」

とビックリした様子。

「だってその高級そうなドレスに今の仕草どう考えても庶民の女の子ではないでしょ?」

と言うと

「やっぱりそういう所で解ってしまいますか?」

「名前まだ言ってなかったですね。私はライアンしがない冒険者です。それと今の答えですがその通りですとお答えしますね」

「あ・・申し遅れました。私はシャルロッティーナ・ルクトニアと申します」

「あ~クルトニア王国の第一王女様でしたか?でも何でこんな危険な森の中で一人で彷徨っておられたのですか?」

「私を知っておられるのですか?私の国ルクトニア王国は2日前軍事クーデターの為にザクトル将軍が反乱を起こして国を乗っ取り逃げた王族を今狩っている状態なのです。私もこの国まで逃れてきましたが追手に追われてとうとう一人になりこの森の中を彷徨っている間にあの狼の群れに襲われてしまいました」


と自分に起こった身の上を告げてくる少女

俺は念の為に聞いてみる。

「シャルロッティーナ様はこれからどうされるおつもりですか?」

すると、少女はストンとその場に座り込み

「もう私にはゆく所も、生活するお金も何も無くなりました。後はこの森で魔獣の餌になるだけです」

とポロポロと涙を流しながら両手を草むらに突いて項垂れる。

俺はそんな少女にハンカチをズボンのポケットから取り出して少女の顔を上げさせてハンカチで涙を拭きながら

「じゃ~私の所に来ませんか?」

と聞いてみると

「良いのですか?私何も出来ませんよ?」

と悲しそうなそしてびっくりした表情で俺に聞いてくる。


俺はそんな少女に

「あなた一人くらい一生養うくらいのお金と場所は持っていますよ?結構秘密は多いですが・・・」

そう言うと

「じゃ~秘密は守りますから一緒に居させて下さい」

と言った瞬間少女は俺に抱きついてきた。

俺はそんな彼女に、腰から抜いた短刀を出し、驚く彼女を置いて自分の首筋にチョンと刃先を当てて血を滴らせると

「じゃ~私の血を飲んで頂けますか?」

と言うと


『少女は・・・固まった・・』


まあ何も言わないままにこういう事するとビックリして固まるよな!!

俺も頭の中に浮かんだまま、行動しちゃったからな!!理屈じゃ無いんだよな。


俺は迂闊だったと反省し

「すみません。ついさっき取得した能力の為に私自身使いきれていないのですよ。私と行動を共にする為には私の血がどうしても必要になるのです」


そういうとやっと、コクッと頭を縦に振った後、俺の血の滴る首筋にくちびるを当て俺の血を飲んだ少女。


一瞬彼女の体全体が淡く光った気がして思わず抱きしめてしまう。


「あっ」


その瞬間少女の小さな悲鳴?驚きの声?

しかし

その後、ぎゅっっと俺の体を抱き締めてきた。


『俺は女の子耐性なんて全く無いんだ~此れどうすりゃ良いんだ~俺~~!!』

パニックになりながらも

仕方ない・・

このままあの場所に行くしかない!!

そう決心し

「じゃ~このまま行こうか」


そう抱き締められた少女にドキドキしながらも言った後

『あの部屋に!!』

心の中でそう念じる。


すると、天井に神々しく光るシャンデリアの光が照らすあの部屋に一瞬で移動。

少女は一瞬で変わった部屋を見て

「私ここに始めて来たはずなのに、どうしてここの事が解るのでしょう?」

と俺をギュッと抱きしめたまま、不思議そうに部屋を見回している。


つづく・・・

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