戦闘訓練

第62話 『気づかなかった何気ない幸せな時間』

最近時間の感覚という物が全然解らなくなってしまっている。

それは!!

『ステラナ』の地と今までいた向こうの世界の時間の過ぎ去る差の違いなのだろ?

『ステラナ』の地では時間を自由に制御できるみたいだ。

現にティナがそれをやっていた。

でも

『一部を動かし一部を止める』

それをティナが制御していたという事に驚いた。

多分俺には必要が無いから・・それが出来ないっぽい


兎に角向こうの世界の時間を気にせずにステア、ティナ、ナサリーの魔法の訓練が出来るのならば3人が自分のシールドだけでも張れるようにしなければ!!


そう思いながら俺はエレノアギルド支部の屋上のゲートに通信の魔道具をセットし『ステラナ城』をタップ


『カラ~ン』


『カラ~ン』


『カラ~ン』


っとゲートに連動した鐘の音がステラナの地に鳴り響く。

お城の傍に設置されたゲートの直ぐ傍には湖があり、湖からは時折魚の跳ねる水しぶきの音が聞こえてくる。ゲートからお城までは花の庭園が続き正面に噴水が勢いよく水を噴き上げている。


その噴水を回り込んだ向こう側がお城の正門

そして

左に折れると森の中に道が続いている

そして

右に曲がれば木々が点在した庭に通じる。

今いるゲートの場所はそこから岬のように湖から突き出した場所にある。


世間の出来事など忘れて、この4人で一生この世界で暮らせるならばそれも良いかもなんて思ってしまう。


俺が景色を見回しながら考え事をしていた姿を見てか

「テラスに上がりますか?}

とステアが心配そうに聞いてくる。


「心配をかけたようだねステア。ここの景色も落ち着いて見れる暇が無かったから、帰って来て改めて風景をみて綺麗だなと思ってたんだ」

と俺は風景を見回しながら話すと

「そうですよね。ここが解放されてから狩に戻ってたりとか、変な事に巻き込まれてゆっくりする暇もありませんでしたね」


とティナも周りの景色を珍しそうに見回している。

「私は皆さんより一歩遅れちゃいましたから、風景を楽しむ余裕さえありませんでしたね」

とナサリーも湖に走って行って湖の水に手を入れて水を手ですくってのんでみているよう。


ステアはそんな風な俺達を見て

「じゃ~皆で森の中でも散策してみますか?」

と提案してくれたので、皆も何かその気になって全員で森の散策


ゲートから噴水まで戻ると俺達4人は左の道に折れ森への身とを真っすぐに入ってゆく。

道のわきには湖へそそぐ小川が流れフキノトウやワサビがたくさん密集してそだっているよう。


そして森の中も適度に木々の間が空いて森の中に光が差し込んできている。

それに下草もほとんど生えて居なく誰かが常に手入れをしているような感じがする。

そして木々の間にはこれでもかと言うくらい山菜が至る所に生えており鑑定してみると、全部食べれる山菜やキノコばかり、そして薬草類、ポーションの材料、錬金術でおよそ必要と思われる植物が生い茂っている。

まるで森自体が全て計算つくされたようにそこに存在している。

そしてそれらは丁度今取り時の丁度良い大きさで成長が止まっていのだ。普通の状態ではない!!向こうの世界ではあり得ない。

自然の森は木々が乱立し、入り込むことも出来ないように木々や下草が絡まって人が入り込むのをままならない状態が普通なのだ。でもここの森は有るべき地頃に有るべきものが有る!!普通そんな事なんてあり得ないのだ。


「此処でサラだとかに使えそうな山菜を取って帰ろうか」

と異空間収納から籠を出して皆に持たすと思い思いに森の中に入って山菜を取り始めた。


知らない間に俺の横に来ていたティナが

「こんなのんびりした時間も良い物ですね」

と籠一杯に取ってきた山菜を俺に見せながら話しかけてくる。

「そううだな。こんな生活も良いな」

と森の中で楽しそうに山菜をつむ他のメンバーを見渡しながら俺はしみじみと思うのだった。


つづく・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る