第7話

この二人は、きっと私の言葉を聞いていなかったのだろう。


突然瞳を輝かせた後、二人でヒソヒソと密談をしてから語君が開口した。



「ねぇ、僕達とお遊びしない?」


「厭だ…「あのね、君が目を閉じて五つ数えて目を開いた時に、もう一度僕達の名前を当ててみて。」」



そんなのの、何処が遊びなのだろうか。


怪訝な顔を浮かべるこちらを余所に、「早く目を閉じて」と強引に視界を暗くされる。



仕方なく私は言われた通りに五つ数えて、瞼を持ち上げた。



「「どっちが誰でしょうか。」」



放たれた質問に答えるまで、数秒も必要なかった。



「さっきと同じ。貴方が綴君で貴方が語君。」



またも二人が吃驚している。


私には驚く理由がよく理解できなかった。



「どうしてそう思うの?」


「黒子。」


「黒子?」


「うん、綴君は首に二つあるけど語君は一つしかない。」



服に隠れていて見えにくい証拠を指差した私の答えに、二人の貌に初めて満面の笑みが吊るされた。



「凄いね君。この秘密、僕達しか知らなかったんだよ。」


「あっそ。それより早く帰して…「き-めた。」」



窓枠から降りて絨毯の敷かれた地面に降り立ったた刹那、二人の腕の中に私の躰は閉じ込められていた。

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