第48話

大学生活が始まって、あっという間に二ヶ月が経過した。


幼稚舎からエスカレータ式で入学した私立大学の経済学科。そこに私達三人の籍がある。



不動財閥の理事長である二人の祖父は、それぞれが別の学科に進学して知性と教養を身につけるようにと云っていたのだけれど、それに対する双子の反発は凄まじい物だった。


自らの家柄に傷が入り兼ねない悪質な嫌がらせの限りを尽くした二人に白旗を上げた理事長は、最終的に双子の意見全てを呑み込まざるを得ない状況にまで追い詰められていた。




「「わーい、チェックメイトなの。」」



見事同じ学科への進学権利を捥ぎ取った二人は、それはそれは無邪気に喜んでいた。


しかし、その一方で「意外とあっさり降伏したね」「退屈になっちゃった」と漏らしている姿を私は目の当たりにしていた。



身内を憔悴させるまでの嫌がらせをしておきながら、二人にとっては最後の最後まで遊戯の一環だったのだ。


その事実を知った時、改めてこの双子の歪み切った性格に恐怖したのを昨日の事の様に記憶している。

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