第49話

羽陽曲折はあったものの、同じ学科への進学を遂に果たした綴と語。


そうして自ずと私の進路先も決定された。



本音を打ち明けるのならば、私は別の私立大学を受験したかったし、興味があり合格圏内だった国際教養学部への入学を希望したかった。



けれど忘れてはならない。


私は、綴と語の愛玩動物でありそれ以上でもそれ以下でもない。



つまり、当然の事ながら、私の進路先は二人と同じ大学の経済学科で決まりだったのだ。


私の意思を確認する事もなく、気づけば受験票が提出されていて、私は自分が何処の学部へ行くかも分からぬまま編入試験を受けた。




「仕方ないか。」



試験を受ける直前に自らの口を突いた言葉はこれのみ。


彼等との生活で、何時しか諦める事が普通になっていた。



足掻いても無駄。下手をすれば即刻塵箱行き。


そんなリスクを背負うくらいならば、最初から何もしない方が全て穏便に動く。



迷う余地などなく、私は二人の希望と意思に従った。

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