第50話
今までと違い、外部からの入学も多い大学は、知らない顔ばかりだ。
当然学び舎も変わり、入学したての頃こそは違和感もあったけれど、それももう消えてしまった。
「暇だね。」
「そうだね、このレベルならわざわざ説明なんて不要だよ。」
大きな教室で行われる講義。
他の学生は必死に教授の話を聞き、ノートの上でペンを走らせている。
しかしながら、私を挟む様にして鎮座しているこの双子はテキストを開く事さえせずに欠伸を零している。
この二人は全く何も変わらないな。私は胸中でそう呟いた。
綴と語の恐ろしい所は、歪んだ性格や、悪意なく平気で人を傷つけるだけではない。
他に類を見ないまでに美しい貌に恵まれ、家柄にも恵まれていながら、頭脳までも他者とは圧倒的な差がある程に優れていた。
こうして講義に耳を傾ける事なく、ただ出席日数を稼いでいるだけの彼等だけれど。いざ試験となると必ず上位に名前が入るのだから神様なんてこの世にいないと強く想う。
だって、神様が実在するとしたら、私がこうして二人に縛られる事もないはずなのだから。
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