第51話
一限目だからなのか、まだ眠気が醒めていない様子で瞼を重そうにしている二人。
頬杖を突いて全く同じ姿勢をしている彼等へ、四方八方から視線は突き刺さっている。
不動財閥の御曹司で、容姿端麗。その二つの言葉が並べば、注目を集めるのも必然的だと云える。
これは幼稚舎に入った時から常に付き纏っている物だった。
「不動君達に今日こそ話しかけてみようよ。」
「無理だよ、目すら合わせてくれないって有名じゃん。」
「じゃああの女は何なの?」
どんなに厭でも、妬みと嫉みを孕んだ私宛ての悪口は耳に入ってきてしまう。
毎日毎日。この双子とお近づきになりたいと願う人間から、私は邪険に扱われている。
慣れたつもりではいるけれど、陰口を叩かれ、妬み嫉みの標的にされるのは嬉しい物じゃない。
心に一切傷が付かないと云えば嘘になる。
「はぁ…。」
途中まで文字を書き綴っているノートへと、溜め息が落ちた。
だから厭だったんだ。
二人と同じ大学の同じ学科に進学すると、こうして反感を買ってしまうから避けたかったのだ。
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