第16話
これまで幾多の人間が容赦なく切り落とされていく様を、私は実際にこの目で見て来た。
使用人なんて長い人でも一年足らずで、理不尽に暇を出される。ほんの些細な事でこの双子の機嫌を損なったばかりに、すぐに首を切られる。
短い人なら僅か数日。気づけば屋敷にいる使用人の顔触れが知らない人で埋め尽くされているなんて事は、よくある話だった。
彼等専属の執事でさえ、一年以上仕える事のできた人を私は知らない。
「飽きたの。」
「厭いになったの。」
「もう要らないの。」
「気分を害されたの。」
使用人が解雇される度に彼等が口にする理由は、何とも身勝手で我が儘な物ばかりだった。
そんな惨憺たる行為すら許されるのは、綴と語の有している地位と権力が余りにも強力だからだ。
そんな中、彼等のお遊戯相手として飼われる事になった私は、もう十五年も二人と人生を過ごしている。
奇跡だと自分でも思う。
奇跡的に、彼等が私に飽きていないだけ。
けれどこの二人が何時私に飽きるかなんて分からない。それが明日かもしれないし、何年も先の話なのかもしれない。
ただ一つだけ確かな事は、綴か語どちらか一人にでも見限られてしまえば、その瞬間から私は「塵」と成り果てると云う事だった。
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