第21話

初等部、中等部、高等部と、有名な私立付属の学校で過ごした。



勿論そこに私の意思はない。


理由はただ一つ、綴と語がそこへ進学するから。たったそれだけだった。



彼等の祖父が理事長を務めていた商社で働いていたはずの父親が、ある日突然母親と蒸発したと聴かされたのは高校に入学してすぐの頃。


いつか帰れるとばかり思っていた私の家は、いよいよ物理的に消え失せてしまったのだった。



肉親であるはずの父親と母親が行方知らず。そんな状況下に立たされた私に残された道は、これまでと同様に綴と語のお遊戯相手でいる事のみだった。



気分屋で屈折した性格を持つ彼等の身勝手な我が儘に、黙って従う。


皮肉にも、父親が最後に告げた教えが活きる事になった。




「綴、語、ごめんなさい。二人を不愉快にしてごめん。」



リビングに、私の声がやけに大きく響いた。



どうして私が謝らなければならないのか。


そんな疑念を抱く事なんてしない。これ以上彼等が不機嫌にさえならなければ、どうだって良い。何だってする。

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