第2話

全ての事の始まりは、今から十五年前の春。


桜が満開になったと云う報道がニュースでよく取り上げられていて、我が家の庭に植えられた一本の桜木も蕾を開かせていた時だった。




大手貿易商社に勤務する父と、専業主婦の母。それから私。


他の家庭よりほんの僅かに裕福な家と云う点を除けば、ごくごくありふれた普通の家族だった。




けれどその「普通」は些細な契機によって、崩壊する事となった。

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