第5話
どっちがどっちなのだろうか。
ただでさえ初めて会うと云うのに、貌がそっくりだから頭が混乱してしまう。
「語、僕ね何だかあの子を見た時からお胸がドキドキしているの。」
「ふふっ、僕も同じだよ綴。」
「やっぱり僕達は何でも一緒だね。」
「そうじゃなきゃ駄目なの。」
「そうだよね。」
私には兄弟がいないからなのか、視界に映る二人の姿は少し違和感があった。
互いの距離が近いからなのだろうか、ずっと手を繋いでいるからなのだろうか、明確な理由こそ言葉にはできなかったけれど、少なくとも私は正面にいる二人に対して酷く困惑していた。
「早く帰りたい。」
誰にも聞こえない程の小さな声で呟く。
おやつを食べていた所に突然帰宅した父親によって着替えさせられて、そのままここに来たせいで私の頭は食べかけのケーキの事でいっぱいだ。
すぐ終わるって云っていた癖に。
徐々に降下していく自分の機嫌に、自然と表情も不貞腐れてしまう。
「僕達はずっと一緒だよ。」
「うん。あのね……「話、まだ終わらないの?」」
すっかり退屈を覚え痺れを切らした私は、気づけば二人の会話を遮断していた。
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