第35話

私の目の前でぐしょぐしょに濡れた指を見せつける相手は、本当に性格が悪い。


細長い人差し指と中指を繋ぐ糸が、己の肉欲を具現化しているみたいで猛烈な羞恥心に襲われる。



「見て、僕の指に絡まって離れない。」


「…見せないで。」


「やーだ。だって、夜ちゃんが僕に欲情している証だもの。」


“愛おしくて仕方ないよ”



開口した綴の舌が、自らの指を丁寧に堪能した。


私の液をゴクリの呑み込む相手の姿に、頬が熱くなる。




恥ずかしい。


顔が火照ってどうしようもない。



私がこうされると厭がるのを知っていてながら、意図的にこんな淫らな行為を見せつける綴の底意地の悪さが憎くて睨み付ける。


けれど、そんな些細な攻撃は何の効果も生み出さない。



「そうやって睨んで良いと思ってるの?」


「だって…「だってじゃないよ。」」


「……ぁあっ…。」



相手の膝が、寝間着の上から秘部を強く刺激する。


予想していなかったそれに、私の躰はビクンと跳ねた。




「夜ちゃんは僕達の物だって、ちゃんと自覚しなよ。」



冷たくて低い声に、恐怖心が大きく煽られた。

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