第27話
ここの所ずっと、某有名なファミレスのテイクアウトや、ハンバーガー、チェーン店の弁当等々の食事ばかりがテーブルに並んでいる。
それもこれも、彼等の「庶民ごっこ」の一環だった。
「庶民ごっこ」と銘打っているものの、蓋を開けてみれば食事の全ては不動財閥専属の使用人達が購入してマンションまで届けると云う何とも庶民とはかけ離れた仕組みになっている。
「わぁ、夜ちゃんも語も見て!強欲な程に具材が乗ってるよ。」
一切れのピザを手にして、ウェッジウッド製の皿に取り分けた綴が真新しい玩具を前にした幼子の様に興奮している。
「本場の伊太利亜のピッツァは生地とソースとチーズだけなのにね、やっぱり庶民はできるだけ安くお腹を膨らませたいのかなぁ。」
兄に続いて手を伸ばした語は、研究者の如くまじまじとピザを観察して悪意が一切籠っていない言葉を吐き捨てた。
庶民ごっこの一体何が愉しいのか、根が庶民の私には理解しかねる。
キャッキャとはしゃぐ無邪気な姿を横目に食事にありつこうとした私の手は、双子によって制された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます