第27話

ここの所ずっと、某有名なファミレスのテイクアウトや、ハンバーガー、チェーン店の弁当等々の食事ばかりがテーブルに並んでいる。


それもこれも、彼等の「庶民ごっこ」の一環だった。



「庶民ごっこ」と銘打っているものの、蓋を開けてみれば食事の全ては不動財閥専属の使用人達が購入してマンションまで届けると云う何とも庶民とはかけ離れた仕組みになっている。




「わぁ、夜ちゃんも語も見て!強欲な程に具材が乗ってるよ。」



一切れのピザを手にして、ウェッジウッド製の皿に取り分けた綴が真新しい玩具を前にした幼子の様に興奮している。



「本場の伊太利亜のピッツァは生地とソースとチーズだけなのにね、やっぱり庶民はできるだけ安くお腹を膨らませたいのかなぁ。」



兄に続いて手を伸ばした語は、研究者の如くまじまじとピザを観察して悪意が一切籠っていない言葉を吐き捨てた。


庶民ごっこの一体何が愉しいのか、根が庶民の私には理解しかねる。



キャッキャとはしゃぐ無邪気な姿を横目に食事にありつこうとした私の手は、双子によって制された。

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