第37話
快感に射抜かれた私の口から漏れる、甘くて媚びる様な淫らな声。
それは、綴からの接吻の中へと溶けていった。
顔を覗かせた冷徹さは、もう彼の瞳の中から消えていた。その代わりにたっぷりの欲情が宿っている。
「しーっ、夜ちゃんが声を出し過ぎると語が起きちゃう。」
「でも…ぁっ…んんっ…。」
「下着、お漏らししたみたいになってるよ。」
「だから言わないで。」
「厭だ。」
意地悪。
本当に、意地悪。
クスクスと上品に笑っているけれど、彼の行いは品の良い事からはかけ離れている。
「イキそうなお顔、してるね。」
「…っっ…。」
耳元で、艶やかに彩られた声が吐息と共に囁いた。
「図星でしょ、夜ちゃん。」
私が声を必死に抑えているのを見て、愉しんでいる。
私が絶頂を迎えない程度に刺激を与えて、遊んでいる。
「イキたいなら、お願いしなくちゃあいけないね。」
この男と、この男と同じ貌をした男によって快感を刷り込まれた私の躰。
恥ずかしくて堪らないけれど、この躰は彼の云う通り、理性が消え失せるまでの本能の熱に犯されていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます