第8話

四本の腕が、私の躰に絡みついて離れない。



「放して。」


「「厭なの。」」


「放して。」



同じ言葉を繰り返し訴える私を見て、興奮した様子の綴君が口角を持ち上げる。



「厭なの。だって、君に決めたもん。」


「そうなの。それからね、君はもうお家に帰れないよ。」



綴君に続いて、語君の放った不穏な言葉の意味が分からなくて顔が引き攣った。


そんなの関係ないとでも云う様に、二人は私の頬に口付けをして透き通る可憐な声で告げたのだった。




「「君は今日からずっと僕達と一緒だよ。」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る