第43話
殺気すら感じたのは、私の気のせいだったのだろうか。
「語、やっと届いたよ。」
宅配便を受け取ったと思われる綴が部屋に再び姿を現した時には、語は何時もと何ら変わりのない甘い笑みを咲かせていた。
「やっと来た!でも一日遅れなの。」
「仕方ないよ、宅配業者は民間企業なんだから。」
「だから一般人って使えないの。」
「そうだね。でもそう拗ねるのは止めてあげようよ、それよりもこれを三人で開けようって愉しみにしてたじゃない。」
綴の言葉に対し素直に頷いた語は、私に跨っていた躰を自分の眠っていた場所へと戻して、無邪気で純な瞳を兄の持つ箱へと向けている。
三人と云う事は、必然的に私も含まれているらしい。
けれどあの箱に身に覚えもなければ、宅配物を頼んだ記憶も私にはない。
「心配しないで夜ちゃん、毒でも薬でもないから。」
怪訝な顔を見せた私に気づいたのか、綴が箱を掲げて開口した。
しかしその説明で心配が拭えるはずもない。物騒な名詞しか吐かない相手を訝しく思う心は濃くなっていく。
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