130坂 物好き

『いいかお前ら、いま彼女がいないからって諦めるなよ。世の中、物好きってのがいるからな』


 いや~、先生からいいこと聞いた。


 たしかに、美人な女優さんが芸人と結婚したり、十億円以上稼ぐ女社長の旦那が自称ミュージシャンだったりしてるもんな。


 それはつまり、お金や地位とか容姿に関係なく、相手が自分を受け入れてくれればいいってわけだ。


 そう思うと希望が持てる。




 ガララ──────────。ガララ──────────。




 二匹のブタがそれぞれスケボーにのって坂道をおりてきた。


 先頭のブタはセレブみたいで高そうな服を着ているメスで、その後をラフな格好をしたオスが続いている。


 メスはサングラスをして、つんとしているのに、オスは買い物をした袋をたくさん持ってニコニコしてる。


 つまりオスはメスの買い物を付き合って荷物持ちをしてるんだ。


 でも、メスはオスに対して特別な感情はないようだ。


 それじゃあオスは、いいように使われているだけじゃないのかな。


「……」


 そうか。


 男側オスが物好きになる可能性もあるってことか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る