275坂 サヨナラではなく

「いつも笑顔で!」


 別れのときはいつもこう言っている。


 ただ単に『サヨナラ』ではそれっきりで、味気ない無属性なものに感じるからね。


 たとえ本当にそれっきりになったとしても、こう言えば少なくとも笑顔でいてくれる気がする。


 せっかく出会えたんだもん。


 明るく笑顔でいてほしいよね。




 ガララ──────────。




 ブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 学生服をきてるし、手には卒業証書を持ってるみたい。


 ということはあのブタは学校を卒業したんだわ。


「……」


 真っ直ぐな目をしてる。


 志を果たそうという意欲に満ち溢れてるようね。


 ここですれ違ったのも何かの縁。


 ブタさん、いつも笑顔で!

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