156坂 いちころ

 ホワイトデーのお返し、もらっちゃった。


 しかもお隣りの俊くん。


 義理チョコをあげたんだけど、本命のクッキーをくれた。


 たぶん、デパートで買ったんだろうな。


 小学生のお小遣いじゃ大変だったと思うけど、私のために頑張ってくれたんだ。


 しかも渡すときが「晴子さん、好きです!」だって。


 顔を真っ赤にしたストレートな告白。


 勇気を振り絞ったかんじが、もうかわいいのなんの。


 元がいいし、あと五年もすれば絶対イケメンになる。


 そして将来は「晴子さん、結婚してください!」てプロポーズしてくるんじゃないかしら。


 きゃ~~。


 私、どうしよう!




 ガララ──────────。

 ガララ──────────。




 二匹のブタがスケボーにのって並走しながら坂道をおりてきた。


 一匹はセーラー服を着て、もう一匹は私服で子どもっぽい。


 一見すると姉弟みたいだけど、雰囲気が違う。


 恋人同士なんだ!


「……」


 そうだよね。


 恋愛に年齢は関係ないよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る