120坂 桃太郎

 童話の桃太郎。


 小さいころに聞かされた話だと、川から流れてきた大きな桃の中に桃太郎となる赤ん坊が入ってた。


 だが実際の書物では、川から流れてきた桃を食べたお爺さんとお婆さんが若返ってできた子どもが桃太郎らしい。


 まあ、桃の中に入っていた方がファンタジーでおもしろいと思うけどな。




 ガララ────────────────────。




 陣羽織を着たブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 手には団子が入ってそうな袋を持っているぞ。


 ということは、イヌ、サル、キジとともに鬼──。


 は!?


 いや、いや、いや。


 桃太郎じゃないだろう。


 それにブタだからといって。


 子ブタがスケボーにのってきたのをお婆さんブタが拾って育てたわけではあるまいし。


 たまたまだろう。


 でも。


 坂の上で老夫婦らしいブタが手を振って見送っている。


「……」


 まさか、な。

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