285坂 学生ではなく

 学生時代の憧れだった椎名さんと五年ぶりに会った。


 いやあ、当時も美人で明るく元気だったけど、より大人の女性になったかんじだったな。


 左手の薬指に指輪はなかったから、結婚とかはしてないようだけど、恋人はいるかもしれない。


 でも、もしフリーだったらアタックしてみようかな。




 ガララ──────────。




 ブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 高そうなスーツを着て、右手には花束、左手にはロゴが描かれた小さな箱を持ってる。


 あのロゴは確か有名宝石店のものじゃなかったか?


 ということはあのブタ、これからプロポーズするつもりなんだ!


「……」


 そうだよな。


 俺はもう学生じゃない。


 一人の大人として、男として、考えることも必要になってくるよな。

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