316坂 可変翼

 飛行機の翼って、離陸に適したものと飛行時に適したものとでは形が違うらしい。


 だからどっちを優先させる翼にするかということになるんだが、そのどちらもできるようにしたのが可変翼。


 つまり、翼をたたんだり広げたりして、いいとこどりをしているわけだ。


 例えばアメリカのF-14なんかそうだけど、いまはそこまでこだわらなくなったみたいだし、システムが複雑になってコストもかかる。


 それに現代で主流のステルスからみても必要のないシステムだもんな。


 ただ、ロマンはあるから、そういう部隊があると面白そうなんだけどな。




 ガララ──────────。




 ブタがスケボーにのって坂道をおりてきた、が。


 う、うん!?


 ヘルメットをかぶったその格好、戦闘機のパイロットみたいだ。


 あ。


 スケボーの横から飛行機の翼が出た。


 可変翼なんだ。


 しかも前に広がる形だから前進翼になってる。


 前進翼は運動性能が高い分、安定性が低くて優秀なパイロットでないと乗りこなせないらしいから、あのブタは優秀なんだな。


「……」


 いや、まてまてまて。


 それはあくまで空の話、飛行機の話だ。


 路上を走るスケボーは関係ない。


 ブタ、何か勘違いをしているかもしれない。


 お~い、ブタよ。


 ちょっと待ってくれ!

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