193坂 いっきゅうさん

 俺って筋肉に自信はあるけど頭を使うのは苦手だ。


 だから、方法うんぬんを考えるより重い物を持って運ぶとかの方が性格的にもあってる。


 話に聞く一休さんみたいに、とんちを利かせられるようだともう少し上手に生きられるかもしれないが、まあ、しょうがねえな。


 これが嘘や偽りのない俺自身だ。




 ガララ──────────。




 僧服を着た子ブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 小僧ってやつだ。




 ガララ──────────。




 さっきの子ブタより体格のいい小僧のブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 なにやら誇らしげに大きな二つの荷物を持っているぞ。


 雰囲気から察するに褒められるか何か言われて気分よくやってるようだ。


 でも絶対、二匹で運んだ方が楽だよな。


 もしかして、先頭をいってる子ブタが一休さんばりにとんちを利かせて、自分は手ぶらになるように仕向けてるのか?


「……」


 まあいいか。


 荷物を持っているブタは嫌がってないし、むしろ満足してるみたいだしな。

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