129坂 いつかくるもの?

 金持ちになって、ドイツ人の妻を迎えて、アウディの車を乗り回す。


 そんなことを夢見ていたが、気がつけばもう五十代。


 とくに変わり映えもなく半世紀も生きてきたわけだ。


 ははは……。


 宝くじ当たらねえかな。




 ガララ────────────────────。




 ブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 使い込まれたハットをかぶってレザージャケットを着てるな。


 あ、腰にはむちもあるぞ。


 まるで映画に登場する考古学者だ。


 作中では伝説の遺物を得るために世界中を旅していた。


 三作目だとその父親も出ていたな。


「……」


 冒険、か。


 欲しければ取りに行かなければならない。


 それにあのブタ、タブレットを持ってたし今はネットの時代なんだもんな。


 自分ができる冒険、やってみるか。

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