282坂 新天地での心配は杞憂で

 この町で働きだして初めての土曜。


 今日はのんびり過ごそう。


 慣れない環境で大変ではあるが、それを上回っていい人とたくさん出会えた。


 最初のうちは不安だらけだったが、なかなかいい感じだった。


 これならうまくやっていけるな。




 ガララ──────────。




 ブタがスケボーにのって坂道をおりてきた。


 この町のブタは和装をするんだ。


 まるで明治の文豪のようだ。


 お。


 俺に気づいて会釈した。


 これはご丁寧に。


「……」


 なかなか個性的だな。


 久しぶりに新刊の小説を読んでみようか。

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