リスナー達へ相談
いよいよプロポーズ作戦を始めることになった。
計画内容は単純だ。
1、
まず、リスナー達に『プロポーズのサプライズ』について相談する。
2、
そのやり取りの中で、俺の明日のスケジュールを伝える。
3、
俺を付け狙う奴が現れたら捕まえる。
我ながら完璧な計画ではないか。
これなら確実に真犯人を捕まえることができる。
さっそく俺はYouTubeのライブ中継を行った。
簡単な挨拶をして、さっそく本題に入る。
「みんなに相談があるんだ」
高い確率で真犯人はこの動画を見ているはず。
こちらの思惑が気づかれないように注意しないと……。
リスター達がコメントを書き込んできた。
『なんだなんだ?』
『カレシさん、イケボ』
『パンツ脱ぎました』
『履け』
楓坂の影響なのか、このチャンネルに集まってくれるリスナーは全員ノリがいい。
おかげで楽しんで動画配信をすることができる。
とはいえ、今回は『プロポーズのサプライズを一緒に考えてくれ』という内容だ。さすがに驚かせてしまうだろう。
騙すようで申し訳ないが、これも真犯人を見つけ出すためだ。みんな、すまない。
「実はカノジョにプロポーズをしようと思う」
俺が発した一言の後、すさまじい勢いでコメントが流れていく。
『ふぁっ!?』
『はやまるな! やれ!』
『マジ?』
『パンツ、履くお』
『ぎゃー』
予想以上の反応だ。
あまりにもコメント量が多すぎて追いきれない。
俺は話を続ける。
「そこでカノジョを喜ばせるサプライズを一緒に考えて欲しい」
リスナー達の反応はそれぞれだが、俺のことを応援してくれるコメントで溢れている。
この調子なら積極的に協力してくれるだろう。
難しいところは、明日俺が行く場所をどうやって伝えるかだ。
地名をそのまま伝えると、さすがにわざとらしい。
だが、真犯人は間違いなく楓坂が住んでいる付近のことを知っている人物だ。
少しだけヒントを出せば、どこかわかるはず。
コメント欄に注意を向けてみると、さまざまなことが書かれていた。
『サプライズを仕掛けてプロポーズするってことか。いいんじゃね?』
『おお! 俺達で企画を考えていいってことか!』
『私がカレシさんと結婚します』
『ひとり変なリスナーがいるよね』
反応はいいのだが、なかなかアイデアを言ってくれる人はいない。
それも当然か。
いきなりサプライズを一緒に考えてくれと言われて、すぐに言える人なんていないよな。
と、ここで『甘えたいOLちゃん』さんがコメントを書いた。
『とりあえず、別れたらいいんじゃないですか』
『何言ってんだ、お前……』
企画を全否定する一言に、別のリスナーがツッコミを入れる。
だが、俺は『甘えたいOLちゃん』さんの真意を気づいた。
「もしかして、ケンカするフリをして、『実はどっきりでしたー』って言うアレか」
『……あー。はい。そんな感じかもですね。そのまま失敗してもいいと思いますけど』
昔からプロポーズで行うサプライズの王道パターンだ。
ケンカしたように見せかけて、実は準備を進めていたというストーリー。
効果はあるのだろうが、これは失敗する場合も多いと聞く。
心配しながらもそんな提案をしてくれるなんて。
『甘えたいOLちゃん』さんって、きっと音水みたいな真面目な子なんだろう。
そして今度は『生意気なJK』さんからコメントが来た。
『ちょっといいかな? とりあえず夜景スポットをチェックした方がいいんじゃない?』
「夜景?」
『うん。こういう時、きれいな夜景を見ながら指輪を送るのが鉄板でしょ?』
「そう言われてみればそうだな」
コメント欄が一気に盛り上がる。
『一番まともな意見が出たな』
『王道だが、そこがいい』
『ぐぬぬ……』
確かにこの内容はいい。
しかも真犯人をおびき出すにはちょうどいい条件が揃っている。
よし、これで行こう!
「じゃあ明日は、夜景スポットの下見に行ってくる。ちょうど住んでいる近くに有名な展望台があるんだ」
明日の夜は展望台に真犯人をおびき寄せる。
これでケリをつけてやる!
■――あとがき――■
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
☆評価・♡応援、とても励みになっています。
次回、展望台で待ち伏せ!?
投稿は【朝7時15分頃】
よろしくお願いします。(*’ワ’*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます