~ゴッド・オブ・ブレイビア~ 姫騎士デュエル・アナリストの俺、男だからとランク2位のチームを追放され、訳あり美少女ばかりの新チームに拾われる。「開幕戦は3日後だ。よろしく頼むよ」「……OK」
第27話「約束は~? 果たしてもらわないとねぇぇぇぇぇぇ?」
第27話「約束は~? 果たしてもらわないとねぇぇぇぇぇぇ?」
ミューレ、リュカ、マリーベルの3人が勝利インタビューでものすごい数のメディアに囲まれててんてこまいになっているのを横目に、俺とアスナは先に帰るべく控え室の撤収準備に入る。
俺たち裏方スタッフは、次のデュエルの邪魔にならないように、さっさと場所を空けなければならないからだ。
この控室もこの後、別のチームの使用予定がある。
この辺りは華々しい表舞台にいる姫騎士と裏方との、一番大きな差と言えるだろう。
(ちなみにミューレは人手不足で広報担当もかねているため、現役の姫騎士ではないが一緒にメディア対応に当たっている。本当にお疲れさまだ)
「忘れ物はないか?」
俺がアスナに確認すると、
「サイン色紙は持ったから、いつアリッサ・カガヤ・ローゼンベルクに会っても大丈夫だよ」
親指を立てて無駄にキレのいいサムズアップをしながら、アスナはアホな答えを返してきた。
「誰もそんなことは聞いてねぇよ」
「どこかでフッと会えないかなぁ。ねぇねぇヤマトはどう思う?」
「アリッサ・カガヤ・ローゼンベルクのいるバーニング・ライガーは最終戦に登場するから、残念ながらまだ会場入りすらしてないよ」
俺はここまでずっと黙っていた真実をアスナに告げた。
最初から伝えてあげても良かったんだが、アスナが見るからにモチベを失ったらチームの士気にかかわるかもしれないと思って、今まで黙っていたのだ。
ごめんなアスナ。
だがこれがチームで戦うということなんだ。
分かってくれ。
「はぁ!? なにそれ!? それじゃ会えないじゃん! せっかくサイン色紙持ってきたのに!」
「俺に言われてもな」
「あーあ。じゃあ後でリュカちゃんに初勝利の記念サインでも貰おっと」
「いいんじゃないか。サインが欲しいって言ったら、リュカも喜ぶぞ」
「身内にサインが欲しいって言われて喜ぶかな?」
「もちろん。それは保証する。唯一、問題があるとすれば――」
「あるとすれば?」
「リュカがサインを持っているかどうかだな」
「あはは、たしかにリュカちゃんの控えめな性格からすると、サインは持っていなさそうだよね。多分、自発的にサインを作るタイプじゃないから」
「これからどんどん勝っていけばサインをする機会も増えるだろうし、まだサインを持っていないようだったら発注しておかないとな」
なんてアスナとどうでもいい(こともない)話をしながら、忘れ物がないことだけしっかりとチェックして控室を出ると。
ちょうど廊下に出たところで、キャサリンたちフレースヴェルグの面々とばったり出くわした。
「あれ、キャサリン」
「や、ヤマト――」
この時間だと、本来ならまだデュエル後の取材対応の時間のはず。
なのにここにいるということは、負けたからって取材拒否をしたな?
一方的にボコされたキャサリンが、相当イラついているんだろう。
キャサリンはフラストレーションが溜まると、すぐに子供みたいに取材拒否を連発するからな。
俺もフレースヴェルグにいた時に、連敗が続いたキャサリンが全然取材に応じてくれなくて困っていると、チームの広報から泣きつかれたことがあったから、今の状況が手に取るように分かってしまった。
だとしたらうちのチームの面々が、あれだけ取材攻勢にあっていたのも納得だな。
優勝を狙うフレースヴェルグをジャイアント・キリングしたことに加えて。
キャサリンたちを取材する予定だったメディアも取材を拒否されて行き場を失い、代わりにうちの取材に来ていたんだろう。
そしてイライラを溜めている相手と話してもいいことはない。
さらっと挨拶だけしておさらばしよう。
「今日は対戦ありがとう。今後もよろしく。じゃあまた」
俺は大人の対応で、それだけ言ってその場を去ろうとしたのだが――、
「約束は~? 果たしてもらわないとねぇぇぇぇぇぇ?」
アスナがとても邪悪な笑みを浮かべながら言った。
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