~ゴッド・オブ・ブレイビア~ 姫騎士デュエル・アナリストの俺、男だからとランク2位のチームを追放され、訳あり美少女ばかりの新チームに拾われる。「開幕戦は3日後だ。よろしく頼むよ」「……OK」
第25話 誕生!《アブソリュート・フォートレス》
第25話 誕生!《アブソリュート・フォートレス》
『デュエル・オールオーバー! デュエル・オールオーバー! 誰がこの結果を予想した!? 姫騎士デュエル開幕戦は! ウィナー! チーム、ライトニング・ブリッツ所属! リュカぁぁぁぁぁ・フリージアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
リュカの勝利を告げるマイクパフォーマーの大音声がデュエル・スタジアムに鳴り響き、割れんばかりの大歓声が巻き起こる。
『しかもリュカ選手はなんと、開始から一歩も動いておりません! 一歩も動かずに前年2位のキャサリン・マオ相手に遠距離砲撃戦で勝利を決めるとは、なんだこれは!? あまりに! あまりにも強すぎるぅぅぅ! もはやこれは要塞! フィールドに現れた絶対要塞! アブソリュート・フォートレスの誕生だぁ!』
興奮冷めやらぬマイクパフォーマンスが続く中、少し誇らしげに、だけどどこか恥ずかしそうな顔で、観客に向かって何度も何度もお礼をしてから、リュカが俺たちのところに戻ってくる。
「ヤマトさん、やりました!」
そして開口一番にそう言うと、可愛らしいガッツポーズを見せてくれた。
「やったなリュカ。お疲れさま。ぶっちゃけ俺が思っていた理想の展開よりも、はるかに完璧な試合運びだったぞ」
俺はねぎらいの言葉とともにスポーツドリンクを差し出す。
リュカはスポドリを受け取ると、軽く口に含んでのどを潤してから、再び口を開いた。
「遠距離戦でガン待ちして、焦って強引に近づいてくるところを高威力砲撃でKOする。相手のアクションも、こちらの行動に対するリアクションも、事前に想定していた通り過ぎて、途中で怖かったくらいですよ」
「キャサリンとは付き合いが長いからな。その分、性格も戦闘スタイルも熟知している。今回は特にそれが生きたかな」
「はい、バッチリ生きてました!」
「それと最後の『余計な一言』作戦も頑張ったな。優しいリュカがキャサリンをちゃんと煽れるか、実はそこだけちょっと心配だったんだよ」
リュカはとても優しい子だ。
性格的にああいう『バチバチの煽り』をするのは向いていないと思ったので、敢えてやらなくてもいいとは言っておいた。
やってもやらなくても同じ結果になっただろうし、無理して余計なことをする必要はないと思ったのだ。
少しでも勝率を上げるためにと無理をしたせいで、デュエルをひっくり返されでもしたら本末転倒だ。
「あまりああいうことには慣れていなかったんですが、絶対にヤマトさんの敵討ちをするんだって思ったら、自然と演技ができちゃいました」
「……俺はちゃんと生きてるからな?」
「そういう心意気だった、ってことですね♪ 本当にいろいろとありがとうございました。この勝利はヤマトさんのおかげです」
「あはは。そう言ってくれるのは嬉しいけど、ちょっとだけ違うかな。チーム運営に奔走するミューレ。フェンリルって最高のマジックウェポンを用意してくれたアスナ。一緒に戦うマリーベル。なによりリュカが、事前の準備から今日のデュエルまで、それはもう本当に一生懸命に頑張ったから。だからこそ成し得た勝利だよ」
「そんな、私は自分にできることをしただけです」
「そう。リュカが自分にできる全力で頑張っていたから、そんなリュカを絶対に勝たせたいってみんなが思って、みんなの力がリュカの頑張りに上乗せされたんだ」
「あ……」
リュカが恥ずかしさと嬉しさをないまぜにしたような、それはもう可愛らしい表情ではにかんだ。
「リュカ。ゴッド・オブ・ブレイビア初勝利おめでとう。最高のデュエルだった。この調子で次も頼むぞ。期待してる」
俺は説教臭くならないように、そしてリュカの気持ちを下げないように。
だけど伝えないといけないことを、なるべく優しい口調で伝えてから、改めて勝利を祝う言葉を送った。
「えへへ……はい!」
「へー? ヤマトってば、なかなかいいこと言うじゃない。ヤマトのくせに」
と、せっかくいい感じに話を締めくくったってのに、アスナがからかうような横やりを入れてきた。
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