~ゴッド・オブ・ブレイビア~ 姫騎士デュエル・アナリストの俺、男だからとランク2位のチームを追放され、訳あり美少女ばかりの新チームに拾われる。「開幕戦は3日後だ。よろしく頼むよ」「……OK」
第95話「ぁ……」「ちょっと力を抜いててくれな」「は、はい……」
第95話「ぁ……」「ちょっと力を抜いててくれな」「は、はい……」
「なぁリュカ。せっかくだから俺と一緒にサンド・キャッスルを作らないか? 俺けっこう得意なんだよ」
「サンド・キャッスル? って、砂で作ったお城のことですよね? 小さい頃に何度か作ったことがあります」
「作るのはお城に限らないんだけど、まぁいわゆる『砂のお城』だな。ここってその道具の貸し出しもしていて、久しぶりにやってみたいなって思ってさ」
泳げないリュカに俺が合わせたとなると、自分よりも他人を優先しがちなリュカは間違いなく同意してくれないので、あくまで俺がしたいことに付き合って欲しいという趣旨で伝える。
「道具って、砂を掘るスコップとかでしょうか?」
「あとはバケツと霧吹きだな」
「バケツは多分、砂と水を混ぜるためですよね? ですが霧吹き……?」
リュカがこてんと可愛らしく小首をかしげる。
「乾燥すると崩れるから、霧吹きで定期的に水をかけながら作るんだ。でもバケツで水をかけたらそれはそれで水が大量すぎて崩れちゃうだろ? そこで適度に湿り気を与えられる霧吹きの出番ってわけだ」
「わわっ、詳しいんですね」
「こう見えて俺はサンド・キャッスルを作らせたら、地元じゃ負け知らずだと自負している」
昔は海へ行くと俺が砂のお城を作り、アスナが怪獣ごっこと称してそれを破壊するのが定番のやりとりだった。
浜辺の破壊神と化したアスナは『どうせ壊すんでしょ? だったら思いっきりやらないとね! スーパーアスナちゃんキーーック!!』とか言って、容赦なく蹴り壊してきたなぁ。
なんとも懐かしいよ。
「それは楽しみです! ぜひヤマトさんのスゴ技をご教授ください!」
「おうよ、任せとけ」
話がまとまったところで、
「じゃあ私は向こうの競泳コースで軽くひと泳ぎしてくるから」
「分かっていると思うけど、準備運動だけは忘れずにな」
「はーい」
マリーベルが1人で泳ぎに行き、俺とリュカはサンド・キャッスル作りの道具を借りてから、砂浜エリアへとやってきた。
(ついでに濡れてもいいように、俺もハーフパンツタイプの水着に着替えた)
既に砂浜エリアの撮影機材は、完全に撤去されている。
俺は最終チェックをしていた撮影現場の責任者と、お別れの挨拶を少しだけしてから、さっそくサンド・キャッスル作りに取り掛かった。
バケツに組んだ水と砂を混ぜて大量の泥を用意すると、それを固めてまずは大きな泥の山を作る。
「なるほど。さっき借りてきた道具の中に、スコップの他にヘラがありました。ここからヘラで泥を削って作品を作り出すわけですね?」
「さすがリュカ、正解だ。基本的に最初に大きな泥山を作って、そこから削り出していくんだよ。ちょっと見本を見せるな」
そう言うと俺はヘラを使って、泥山の頂上の泥をこそぎ落としながら尖らせていく。
すぐにそれは1つの形となった。
「あ、これはお城のてっぺんですね」
「正解。な、簡単だろ」
「はい、思っていたよりは簡単に見えました」
「削り過ぎても、また泥を載せてやれば簡単にリカバリーできるから、ザクザクやってしまって大丈夫だ」
そう言うと俺はリュカにヘラを渡した。
「じゃあやってみますね」
リュカが早速、泥山を削り出す。
最初は不慣れだったものの、頭のいいリュカはすぐに要領を理解して、いい感じに削り始めた。
「お、なかなか上手じゃないか」
「分かりやすく見本を見せてもらいましから。ですが細かいところはちょっと難しいです」
リュカはお城の窓の部分を削ってへこませようとして――自分の思っているのとは少し違っているのか――何度かやり直しをしている。
「ヘラの先を使ったり、寝かしたりして角度を変えるといいと思うぞ」
俺はそう言うと、リュカの後ろから覆いかぶさるようにして、リュカの右手に俺の右手を被せた。
「ぁ……」
「ちょっと力を抜いててくれな」
「は、はい……」
俺はリュカの右手を操作しながら、どうやればできるのかを実際に削って見せてあげた。
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