~ゴッド・オブ・ブレイビア~ 姫騎士デュエル・アナリストの俺、男だからとランク2位のチームを追放され、訳あり美少女ばかりの新チームに拾われる。「開幕戦は3日後だ。よろしく頼むよ」「……OK」
第96話 ドキッ☆密着だらけのサンド・キャッスル作り!
第96話 ドキッ☆密着だらけのサンド・キャッスル作り!
「ヘラのいろんな面を使うことで、いろんな形を作り出せるんだ。それが面白いところでもあるし、技術の見せ所でもあるんだよな」
密かな特技を披露する機会とあって、俺はちょっと自慢げに言ったのだが、
「ぁ……えっと、はい……」
リュカは小声で簡単な受け答えを下だけで黙り込んでしまう。
「ん? 急に小声になってどうした――って、悪い」
俺はそこで、いつの間にかリュカをバックハグでもしているかのごとく、後ろから抱き締めるように覆い被さってしまっていることに気が付いた。
しまった。
さっき昔のことを思い出したからか、無意識のうちに、子供の頃にアスナにコツを教えた時みたいにやってしまった。
あの頃と今じゃ男女という性別の持つ意味あいが違う。
しかもリュカも俺も水着を着ている。
つまり素肌と素肌でド密着で触れ合ってしまっていたのだから、マズいなんてものじゃなかった。
しかもそういうことを考えてしまったせいで、リュカの素肌の感触をもろに意識してしまう。
うぐっ、マシュマロのように柔らかいぞ……!
リュカは太っているわけでは決してないが、女の子らしい肉付きのいい身体をしている。
(これは俺がデュエル・アナリストなので、当然リュカの身体データを詳細に把握しているだけであって、10歳年下の女の子の肉体に興味津々だからというわけではない。一応、念のため)
しかも可愛くて、出るところが出た魅力的な女の子だ。
そして俺はというと、リュカほどは若くないもののそれでも20代の男。
リュカに対して『そういう感情』が全くないはずもない。
しかし仕事仲間であるリュカに対して、それを見せることは許されなかった。
俺はそういった様々な問題やら葛藤やらを隠しつつ、急ぎ立ち上がろうとしたものの、
「ぁ……えぃっ!」
小さくつぶやいたリュカが左手を後ろに回してきて、俺の腰を抑えるようにして俺が立ち上がるのを押しとどめた。
「リュカ?」
「別にぜんぜん問題ありませんから。このまま教えて下さい」
「そうは言ってもだな」
「問題ありませんから」
もしかしたら俺を不愉快にさせたくないと、遠慮しいのリュカは思ったのかもしれない。
俺は立つべきか立たざるべきか、わずかに思い悩んだのち、
「……まぁリュカがそう言うなら」
現状維持を選択した。
ま、誓って故意じゃなかったんだし、このくらいのスキンシップはギリギリ許容範囲だろう。
俺はその姿勢のままでリュカと一緒にサンド・キャッスル作りを再開した。
「えへへ……」
「どうした? さっきから機嫌良さそうだな」
「はい、すごく楽しいです」
「ははっ、そんなにサンド・キャッスル作りを気に入ってくれたか。だったら俺も勧めた甲斐があったよ」
「ぶぅ……」
「なんだよ?」
「なんでもないですー」
「そうか? 何でもありそうな様子に見えるんだが」
「なんでもありませーん」
言いながら、リュカは俺にもたれかかるように体重を預けてきた。
自然と密着度合いが増して、リュカの柔らかさと温もりがこれでもかと伝わってくる。
「りゅ、リュカ?」
「ヤマトさんの身体、あったかいです。えへへ……」
お、おい。
そんな風に甘えた声で言われたら、ドキッとしちゃうだろ。
「お、おう」
「えへへ……」
お、落ち着けヤマト・リンドウ。
これはただのスキンシップであって、深い意味はないはずだ。
仮に深い意味があったとしても今は考えてはいけない。
考えると大変なことになってしまいかねない。
こういう時は頭の中のデータ整理だ。
そうそう、この前アスナから上がってきたフェンリルの改良版システムver1.3。
なぜか最大の問題点である使用魔力量の軽減ではなく、威力の増大に重きを置いた謎改良だったが、あれはあれで俺は悪くないと思う。
フェンリルは8枚セットの攻撃システム。
1発1発の威力が10%上がるだけで、8枚あるから攻撃力が80%向上するということだ!
うん、明らかにこの理論はおかしいな。
俺は思考を別に向けることで、込み上げてくる若さゆえの熱情を必死にやり過ごした。
その後も、俺はリュカを抱っこするような形で、いろいろなコツやテクニックを教えながらサンド・キャッスル作りにいそしんだ。
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