~ゴッド・オブ・ブレイビア~ 姫騎士デュエル・アナリストの俺、男だからとランク2位のチームを追放され、訳あり美少女ばかりの新チームに拾われる。「開幕戦は3日後だ。よろしく頼むよ」「……OK」
第21話 膨大なデータは嘘をつかない。後は使い方次第さ。
第21話 膨大なデータは嘘をつかない。後は使い方次第さ。
「ふぅん? 分離・展開型のマジックウェポン? 初めて見るわね。どこのメーカーの技術かしら?」
キャサリンが少し驚いたような様子でフェンリルを見る。
「メーカー製じゃありません。ブレイビア王立魔法院から、試作機を貸与してもらったんです」
「ぷっ、試・作・機?w よりにもよって試作機ですって?w ブレイビア王立魔法院ってところには少し驚いたけど、試作機じゃあねぇ?w しかもレンタルでしょ?w 貧乏チームは本当に大変ねw で?w 試作機のマジックウェポンが、このランキング2位のキャサリン・マオに通用するとでも、本当に思っているわけ?w」
リュカの答えを聞いたキャサリンは、これみよがしに馬鹿にしたように笑う。
ちなみに姫騎士は小さな高性能マイクをつけているので、ある程度はここでも会話が聞き取れる。
やれやれ。
リュカが正直にブレイビア王立魔法院の名前を出したことで、少しくらいキャサリンが警戒するかと思ったが、全然そんなことはなかったようだ。
「それはやってみてのお楽しみです。
ビュン!
ビュンビュン!
キャサリンの機先を制するように、リュカの意思を受けた8枚のフェンリルが動き出し、全方位攻撃となってキャサリンへの攻撃を開始した!
「さてと。ご自慢の試作機の性能がどんなものか、じっくり見定めさせてもらおうかしら――くっ!? なっ、なんなのこれは!?」
ビュン!
ビュンビュン!
キャサリンを取り囲むように展開した8枚のフェンリルが、のっけから魔力砲撃を撃ちまくった!
フェンリルの8枚羽の1つ1つには、小型の魔力ビーム砲が搭載されており、飛行魔法によって自由自在に飛び回りながら、魔力ビーム砲撃をすることができるのだ。
フェンリルがキャサリンを前後左右・四方八方から撃って撃って撃ちまくる!
キャサリンは慌てて回避行動をとるが、リュカが操るフェンリルの魔力ビームは、雨あられのごとくキャサリンに降り注ぎ、回避することを許さない!
「逃がしません!」
「くっ、うぐ――!」
「そこですっ!」
「ぐぅぅっ!?」
(あはっ、あいつバシバシに当たってるじゃん。しかも今、自分からビームに当たりに行ってなかった? ランキング2位とか事あるごとに自画自賛しているくせに、避けるのが下手っぴだねぇ。ウケるー!)
フェンリルの激しい砲火を浴びてボコられるキャサリンを見て、アスナが弾んだ声で楽しそうに笑う。
フェンリルの開発者として、上手く稼働している状況が最高に嬉しいんだろう。
(いいや、アスナ。あれはリュカがキャサリンの回避行動を読んで、回避先にビームを置き撃ちしているんだよ。だから自分から当たりに行ったように見えるんだ)
(そんなことができるの?)
まだよく分かっていなさそうなアスナに、俺はさっきのシーンを簡単に解説してあげることにした。
(さっきの場面を説明するとだ。キャサリンは足を止めて正面からの攻撃をガードした時、80%以上の確率で――つまり5回に4回は、左斜め後ろにバックステップをする。リュカはそれを踏まえて、左斜め後ろを狙ってビームを置き撃ちしたのさ)
この回避の癖は、いつまで経っても直らない――直そうとしない――キャサリンの悪癖の一つだ。
(わおっ、そんなことまでデータで出ちゃうんだ)
(キャサリンは、フレースヴェルグで5年も見てきた姫騎士だからな。動きだけじゃなくて考え方の癖まで知り尽くしている。膨大なデータは嘘をつかない。後は使い方次第さ)
(ヤマトって結構すごかったんだね。ちょっと意外かも)
(意外とか言うな、意外とか)
(だって年下のアタシに勉強見てもらってたじゃん)
(アスナの頭が良すぎるだけで、俺はまぁまぁそれなりに勉強はできたっての)
(ごめんね? アスナちゃん世紀の天才過ぎて、ごめんね?)
うぜぇ!
……まぁ今はいい。
(で、だ。多分だけどリュカは頭の中に、俺が用意したデータを丸ごと全部インプットしている。その中から瞬時に状況とデータを照らし合わせて、キャサリンが次にどういう回避・防御を選択するかを、リアルタイムで予測しているんだ)
(そう聞くとリュカちゃんはすごいよねぇ。アタシも自分は天才だと思っているんだけど、記憶力だけなら勝負できても、思考の速さはちょっと勝負にならないかなぁ)
(ああ。俺もリュカの頭の良さの本質は、単なる記憶力よりも、思考の速さにあると思っている)
俺の見立て通り、リュカはデータから導き出される最適な行動を即座に選択し、まるで未来が見えているかのように、キャサリンを的確に追い詰めていく。
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