~ゴッド・オブ・ブレイビア~ 姫騎士デュエル・アナリストの俺、男だからとランク2位のチームを追放され、訳あり美少女ばかりの新チームに拾われる。「開幕戦は3日後だ。よろしく頼むよ」「……OK」
第90話「もしお姉さまがどうしても嫌だと言うのなら、ここはわたしも引き下がります」「どうしても嫌よ」
第90話「もしお姉さまがどうしても嫌だと言うのなら、ここはわたしも引き下がります」「どうしても嫌よ」
「こ、ここの施設の所有者はミューレだから、そもそもミューレの許可がいる。勝手に『はいそうです』とは言えない」
しかし俺は小学生なみの低レベルな反論を絞り出すしかできなかった。
「それはチームオーナーでもあるミューレ・アカツキに許可を取れば問題ない、という意味で受け取ってよろしいですか?」
当然、俺の低次元な反論はアリッサに軽く払いのけられてしまった。
「むぐ……」
もはや打つ手なしとなった俺の口が、次なる言葉を紡げないでいると、
「いいわけないでしょ。私が嫌って言っているんだから」
マリーベルが席から立ち上がると、つっけんどんとした口調で言った。
「お姉さまも今までの議論は聞かれていたはずです。わたしの提案はライトニング・ブリッツに大きなプラスとなります」
「議論も提案も関係ないから。私が嫌だって言ってるの」
しかしマリーベルは聞く耳すら持たずに、アリッサの言葉を容赦なくぶった切る。
取り付く島もないとはこのことだ。
「お姉さま、張らなくていい意地を張らないでください。わたしは別にお姉さまをバーニング・ライガーに勧誘しようとは思っていません、今は。ただ、昔みたいにお姉さまと一緒に居たいだけなんです」
「今はって何よ、今はって」
「人の心も、その立ち位置も変わりゆくもの。それはローゼンベルクと和解したお姉さまが、一番よくご存じのはずではありませんか?」
「言ってくれるわね。自分はローゼンベルクにどっぷりつかっていたくせに」
「そうケンカ腰にならないでください。わたしはお姉さまのことを敬愛しています。また昔のように仲良くしたいのです。本当にそれだけなんです」
「叶わぬ夢ね。諦めなさい。だって仕方ないでしょう、アリッサは私に負けたんだから」
マリーベルが勝ち誇ったように言う。
自分のほうが強いから文句を言わさないってのは実にローゼンベルク的な思考に見えるのだが、もちろん言いはしない。
「そうです。お姉さまに負けたがゆえに、わたしはよりいっそう、お姉さまと一緒に居たいと強く思ったのです。あの頃と同じように強いお姉さまと、一緒に」
だけどアリッサはしつこく食い下がる。
「だから叶わぬ夢だって言ってるでしょ。私にあれこれ言う前に、負けた己の弱さを見つめ直しなさいな」
「ですが、わたしはライトニング・ブリッツにとって極めて有益な提案をしています。このままでは、お姉さまのわがままがチームに迷惑をかけるかもしれませんよ?」
少し議論が劣勢と見たか、アリッサが直接言葉に出してマリーベルを揺さぶりに出る。
しかしマリーベルはほんのわずか、ためらいのような一瞬の間を飲み込むと、キリッとした顔で言った。
「そんなことででライトニング・ブリッツはびくともしないわ。私がさせない」
それはさっきアリッサが堂々と言い放った言葉の、そっくりそのままお返しだ。
論戦は今や、完全にマリーベルに軍配が上がろうとしていた。
ふぅやれやれ。
これなら俺がアレコレやらなくても、最初からマリーベルに任せておけばよかったかもな。
「ではこうしましょう。もしお姉さまがどうしても嫌だと言うのなら、ここはわたしも引き下がります」
小さく頬を膨らませながら、どこかいじけたような調子で言ったアリッサに、
「あらそう? どうしても嫌よ」
マリーベルはあっさりと断言して返す。
「むぅ……っ!」
それに対してアリッサがさらに頬を膨らませながら、露骨に不満そうな顔を見せた。
おおっと?
アリッサって、いついかなる時も最強王者らしく威風堂々としているんだけど、こんな年相応な子供っぽい仕草もするんだな。
お姉ちゃんのマリーベルの前だからだろうか?
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